十七 ページ17
俺は口に入っていたフレンチトーストをホットコーヒーで流したあと、「そう怒るなよ。気持ちは分かるが俺達はそれで生活してる」
キャロルは眉間に皺をよせて戻ってきた。
「なんなら俺とロバートで依頼者の所に行ってこようか? 此処に招きたくないんだったら」
「何でくっつけの仕事で俺とお前で行くんだ? 専門知識もねえじゃねーか」
俺は両眉と掌を上げてみせた。それにキャロルは大きな鼻息で応えた。
「くっつけの仕事はキャロルがいなくちゃならねーだろ。私とキャロルで行ってくるよ。ふたりは此処で依頼でも待ってな」
「お前はもうちょっと人のことを考えろって」
「お前は私にどうしろっつーんだよ!」
今にも喧嘩が始まりそうなビアンカとジェームズの肩をキャロルがぽんぽんと叩いて落ち着かせた。キャロルの顔の皮膚が一瞬だけ二十歳も三十歳も老けて見えた。
「良いから、良いから。私とビアンカで依頼者の所に行くわ」
キャロルはジェームズと一秒ほど目を合わせて朝食に戻った。
俺はコーンポタージュにしゃぶりつき、楽しいクリスマスの一部になる筈だった朝食を終わらせた。事態は更に悪化していく一方だ。
俺とジェームズは仕事に行くふたりを見送った。タンクトップを着ていたビアンカは、紫色のパーカーに毛皮付きのフードがついた黒のダウンジャケットを追加していた。俺はそれでも足りないぐらいだ。
「うおーっ、寒そうだな」
「お前は本当に寒がりだよな。氷点下二度でもぶるぶる震えるんだから」
「黙れ。お前は子供体温がまだあるだけだろ」
「ファックユー! あと二ヵ月で成人になるからな」
「そりゃおめでたい。厚着の服でも買ってやるよ」
「こっちは精力剤でも送っといてやろーか」
俺はついかっとなって、キッチンの左にあるデスクの引き出しを開け小型スタームルガーを取り出した。ジェームズの方を見ると、彼は俺より先に銃を此方に向けていた。彼の鼓動はきっとゆっくりで動揺もしていないだろう。証拠に精悍な目つきに変わった。
俺は右腕を降ろし、肺の空気を空っぽにするくらいの深い溜息をついた。
「やめよう。無駄だ」
【第三章】 十八 人は幸せを目指して生きているが、苦しいことばかりで→←十六 ジェームズ初登場
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 椋香さん» 毎度、暖かい目でみて頂いて感謝しております。ロバート&キャロルシリーズは、キャラ設定の割にハードボイルドなお話なんですよね。かみ合わない所が俺的にはツボですが(苦笑) 椋香先生はこういう系が好みなのかな? また機会があれば楽しく書きたいです! (2015年6月7日 20時) (レス) id: e81dc0df4c (このIDを非表示/違反報告)
椋香(プロフ) - 読了しました〜。言われてしまうと、裏設定書き込んでほしくなります…。今回も楽しく読ませていただきました♪またこのジャンルにも挑戦してみてください!こんな未来にならないことを祈りつつ…。 (2015年6月7日 16時) (携帯から) (レス) id: 79a496978a (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - ふたまさん» 感想ありがとうごうごさいます(*´∀`) このお話は書き始める前から仕込んでいたネタだったので、そう言っていただけると嬉しいです。これからも頑張って書き続けます。ありがとうございました♪ヽ(´▽`)/ (2014年11月5日 22時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
ふたま(プロフ) - イベント参加ありがとうございます!話が深くて超面白かったです…!書き方がお上手で憧れます(/∀\*)これからも頑張ってくださいね! (2014年11月5日 20時) (レス) id: fd0c711392 (このIDを非表示/違反報告)
ナンシー・ハジェンズ(プロフ) - 感想ありがとうございます!(*^^*) 改行は縦書きはなしで、横書きは幾つか入れた方がいいそうです。改行ない方が正しいと思っていて、この作品は入れなかったのですが、最近知って修正しました。描写についてはまだ改善案があると思うのでがんばります(><) (2014年7月24日 12時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナンシー・ハジェンズ | 作者ホームページ:
作成日時:2013年9月14日 23時