【銀/魂】戦場を嫌う黒い鬼 弐【坂/田/銀/時】

チョコレートが七十個 ページ27

「おっちゃーん！ みたらしとそこの餅1パックずつ頂戴！」


午前10時。いつもは屯所で書類整理をしている時間なのだが、私は今、江戸・歌舞伎町にいる。

怪我は刺された首と切れた左の手のひらだけだったのだが、思ってた以上に手の傷が深かったらしく数針縫われ、首にもガーゼが貼られてしまった。

監察は一旦中止としても事務作業ぐらいは出来るだろうと思っていたのだが、洗濯や皿洗いは手が滲みるため断念。蔵の書類整理をしようとするも、手をグーパー動かすことすら痛いため断念。

屯所に居ても出来ることがないため、非番をとってこうして街に出てきたわけだ。



おっちゃんにお金を渡し団子を受け取る。どうせなら今日も暇を極めているであろう3人組に私の武勇伝でも伝えてやろうと思い、万事屋への道を往く。

真夏のクソ暑い日差しの中賑やかな道を歩いていると、突然薄暗い路地から白い物体が現れ、ボフッという効果音と共にぶつかった。

驚いてその物体の顔を見ると──


「……オバQ？」

「オバQじゃない、エリザベスだ」


いつの間にか隣に立っていたヅラに即答される。


「ヅラじゃん、久しぶり」

「ヅラじゃない、桂だ。久しいなA」

「で、何コレ。……ペット？」

「ペットじゃない、相棒だ」

「キモ可愛い」

「気持ち悪くない、エリザベスだ！！」


そんなやりとりの後、埒が明かないことに気づき、真顔の桂に尋ねる。


「で？ 本当は何なの？」

「だからエリザベスだと言っているだろう？」


さもこの状態が当然かのように、当たり前だと答える桂。その間、彼の言うエリザベスはじぃっとコチラを見つめてくる。


「いやいや、キャラクターじゃなくて中の人について聞いてるの」


しかし、私がそう聞いても、桂は真面目な顔で不思議そうにする。


「エリザベスはエリザベスだ。中の人でも何でもない」

「え？ い、いや、それ着ぐるみじゃ──」
「エリザベスだっ！！」

「……そっか」


解せん。

桂の気迫におされ、頷いてしまった自分を恨みたい。しかし、桂はそんな私の心情には当然気づくことも無く、話を進める。


「してA、甘味を持ってどこへ行く気だ？」

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ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキー食べ物……かもしれない！

誰かのもんじゃ

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