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1話 ページ2

私は産まれてからずっと父と一緒に過ごしている

物心ついた頃には、私は母の姿や思い出など何も知らなかった

毎晩のように父が綺麗な女性達を連れてきては館中に甲高い悲鳴が聞こえた

夜が明ける頃、父は必ず私の元へやってくる

私と同じ金色の髪が揺れ赤い瞳が私を映す

その瞳で私を見つめ、優しく頭を撫でて父は行ってしまう

小さい頃はそれだけでも嬉しくてはしゃいでいた

父の大きな手が私は大好きだった

しかしある日を境に父の姿が見えなくなった

私は父の部下の人に連れられ遠い見知らぬ所へ連れていかれた

誰も寄り付かなそうな薄暗い館に入ると私を棺桶に寝かせた


「貴女の父上様は必ず戻って参ります。その時までこのペンダントをお持ちください。それまでどうか暫しの間お眠り下さいませ。」


そう言うと私にペンダントを渡しゆっくりと棺桶の蓋を閉じた

しんっと静まり返る中、聞こえるのは風の音

ペンダントを大事に握りしめ私は目を閉じた

まだ6つにもなっていない子供には何が起きたかなど分からない

でも、ここで待っていれば父が戻って来る。

またあの優しい手で頭を撫でてくれるはず

私はその日を待ち深い眠りについた

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作者名:ムーマン | 作成日時:2018年2月15日 7時

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