【人狼ゲームの主役は我々だ！】ひとらんらん_1_ ページ16
──おい、少し離れた村に狼出たってよ。
──おぉ、こわこわ。
──この村に来るのも時間の問題か…？
──…いや、既にいるかもしれん。
──とにかく、子供たちには内緒だ。
──大人だけで解決するんだぞ。
小さい頃。
夜中目が覚めて水を飲みに行った私は、
偶然大人たちの内緒話を聞いてしまった。
──ねぇ、おおかみ、ってなぁに？
──な、起きてたのか…？！
──あ、あなたが気にすることじゃないのよ？
──そうそう、ほら、いい子だから寝なさい。
──…？はぁい…おやすみなさい…
──あぁ、おやすみ。良い夢を。
眠気が勝りその日は眠ったけれど、
次の日どうしても気になって、子供の中でも
物知りだったグルッペンに聞きに行った。
けれど、彼にもはぐらかされてしまった。
今考えれば、知らないとは言わなかったから、
意図して隠したんだと思う。
…優しいよね。
次にお家が近かったひとらんに聞きに行った。
ひとらんは、怖い動物だよ、とだけ教えてくれた。
でも、大人が怖がる理由は教えてくれなかった。
そしたら、話を聞いてたゾムが、
ひみつやで？ってこっそり教えてくれたの。
──おおかみはな？村には人のまねっこして、
にんげんを食べにくるんやで。
私、怖くなって泣き出しちゃって、
それを見たゾムは、
──あんしんしぃ！俺がぜったいまもったる！
なんて、約束してくれた。
ないしょ、って大人は言ってたけど、
私が皆に話しちゃったから子供は全員知ってた。
そしたら、グルッペンも、オスマンも、
大先生も、ゾムも、…ひとらんも、
皆、狼なんかに村をこわさせない、
Aのことまもるからって、言ってくれて、
とっても嬉しくて、
また泣いちゃったのをよく覚えてる。
あれから数年、いろいろなことがあった。
皆と大きな喧嘩もなくて、
悲しいことがあったりもしたけど、
真っ先に気づいてくれたのは、
支えてくれたのはいつもひとらんだった。
そんなひとらんが好きで、
オスマンに相談して、今じゃ恋仲。
…皆には、まだ言えてないけど、
私の誕生日になったら言うつもりだった。
そして、私の16の誕生日の朝。
私のお父さんが、殺されていた。
…ついに、狼がこの村にも出てしまったのだ。
ひとらんは占い師で、
真っ先に私が狼じゃないって証明してくれた。
村の皆は一気に疑心暗鬼に陥って、
会議をして、怪しい人を村から追放しよう、
ってことになった。
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作者名：ユズナ x他1人 | 作成日時：2015年4月5日 3時
