君はきっと ページ4
『五条先生。虎杖悠仁は一体、何者なんですか。』
「ん？あ、そっか。虹はしばらくいなかったし知らないよね。悠仁は、宿儺の器ってやつ！」
それは知ってる。私が聞きたいのはそこではない。
『私が聞いてるのは、虎杖悠仁という人間のことです。彼は、ただの高校生、一般人だったんですよね。私みたいに。』
「うん、そうだよ？」
『なら尚更、何故あのように戦えるのか、理解ができません。普通の人間なら、突然呪霊と戦えと言われても動けないはず。さらにあの身体能力。一朝一夕で身につくものではない。私が身に持ってそれを1番知っています。』
「確かに。虹は、沢山頑張ったもんね。俺と、あいつに何回泣かされたんだか！」
五条先生の言う、"あいつ"。
それは、一年前に先生自身が手を下した、先生の親友だった人。
ーーー夏油傑。
優しい人だった。
五条先生と違って、常識も理解もある、とてもいい人だった。
私は人として、彼が好きだった。
彼ら2人が飴と鞭なら、傑さんは、飴だろうか。
呪術師が、非呪術師を救う事を誰よりも諭してきた。
それは、先生自身もだと聞いた。
なのに、彼は変わってしまった。
非呪術師を猿と例え、ーーー呪詛師になってしまった。
さらに去年の12月に百鬼夜行を起こした。
その時のことは、未だ忘れない。
彼に会ったのは、それが最期になった。
変わってしまった理由は私も知らない。
先生も教えてくれなかった。
「聞いてる？？無視？？」
『あ、すみません。虎杖悠仁は、呪い、ですよね。』
「…うん。でも、人間だよ。」
『私は、彼を、…彼と分かり合えるでしょうか。』
「うん。虹なら大丈夫。だって、僕"たち"の生徒だもん。」
『…ふふ。そうですね。ありがとうございます。』
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作者名：杏 | 作成日時：2021年12月6日 13時
