「…恋の始め方」 (ページ7)

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☆ ページ7

「ここまでで、大丈夫です。」

最寄駅の改札で握られていた手を離した

樹「ほんとに？ここから本当に近い？」
　「本当に近いです。ありがとうございました。」
樹「じゃあ送ったお礼として連絡先教えて！」
　「それはまた別の話です。では、おやすみなさい。」
樹「ねぇ！教えてくれなきゃ家まで着いて行くよ！」
　「それは困ります。」
樹「じゃあ連絡先教えてよ！」
　「それは嫌です。」
樹「じゃあ、せめて一つだけ俺のお願い聞いてよ！」

改札でいい大人がなにを大きい声で…と行き交う人から冷たい目で見られるのが耐えられなくなってきた

　「わかりました…なんですか？」

樹「…俺と次会った時には連絡先教えてくれる？」

まるで子犬が飼い主を見るようにキュルルンと効果音がつきそうな上目遣いで私を見つめる田中さん

　「…いつかどこかで会えたら。」
樹「やった！言ったからね！約束だからね！」

じゃあ気をつけてね！なんて大きく手を振りながら帰って行く田中さん

なんか、変な人だったな。
子供みたいに拗ねるし、疑問形で一目惚れするし子犬みたいだし。。

それに

…次会うことはもうないし

モヤッとしながらも家へと歩いた