「…恋の始め方」 (ページ44)

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☆ ページ44

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北斗からのメッセージに既読をつけると続けてメッセージがくる

近くのバーの位置情報

北:A来るまで待ってるから

バカだな、私

残業続きでフラフラな体に鞭を打ち会社から駆け出す

慎「あ、A！樹が…」
　「お疲れ！急ぐから！」

慎太郎の言葉はほとんど聞かずに会社を飛び出した

外は深々と雪が降り始めている
けれどなにふり構わず走る

カランカラン

北斗「A」

店に入るとカウンター席に座る北斗の姿をすぐに見つけられた
軽く手を上げて私の名前を呼ぶ

隣へ並んで座る

北「本当に来てくれたんだ」
　「呼んだのはそっちでしょ」
北「こんなに急いで来てくれるなんて嬉しいな」

頭に雪がついていたのか髪を整えられながら頭を撫でられる

　「なに、今更」
北「クリスマスだからさ。Aに会いたくて」

慣れた手つきで私の腰を抱く

　「あっそ。用が済んだなら帰る」
北「そんなに毛嫌いしないでよ。俺のこともう嫌い？」

優しい笑顔で私を見つめる北斗

この笑顔が大好きだった
けれど今は怖く感じる
なんでこんなに急いで来てしまったんだろう
私が好きだった北斗はもういないことわかってるのに

　「北斗のことは嫌いじゃないよ」

思ってることと口に出すことが噛み合わない

北「よかった」

目を細めて柔らかく笑う

北「なにか、一緒に飲まない？」
　「なら、一杯だけ」

店「ご注文は」
　「キールで」
店「かしこまりました」

北「元気にしてた？」
　「まぁね」
北「冷たいお返しどーも。」
　「優しくする義理がないから」
北「昔はあんなに笑ってくれたのに」
　「…北斗がこうさせたんだよ」

キールです。と目の前に置かれるカクテル
グッと一気に飲み干す

　「じゃあね。もう、連絡してこないで」

北斗の返事を聞き終わる前に私は店を出た