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最初にヴィル、続いてグリムとユウ、リドルと次々に眠りの世界へと誘われていき、すやすやと穏やかな寝息を立てているのを確認してから、Aは物音一つ立てずにオンボロ寮のバルコニーへと移動した。
｢ふぅ……久方振りの、ですね｣
Aの唇から紫煙が吐き出され、ゆらゆらと不安的な動きで上へと昇っていき、そして周囲の風景に溶け込むかのようにして消えていく。
繊細で美しい装飾の施された煙管を右手で遊ばせつつ、彼女はぼんやりと下弦の月を見上げていた。
何処と無く冷たさを感じさせる雰囲気が漂う中、不意に目を覚ましたレオナがバルコニーへと足を踏み入れる。
｢よぉ、A。学園内でそんなもんを吸ってて良いのか？｣
｢おやレオナさん、寝ていらしたのでは｣
｢たまたま起きた。それでお前を探したら、こんな場面に出会っちまったわけだ｣
｢成程。ですが残念です……確かに煙管を使用していますが、これは煙草ではないのですよ｣
｢あ？ どういうことだ？｣
｢詳しいことは申せませんが……そうですねぇ、体調管理の一環だと思って頂ければ｣
煙草を吸うことが体調管理に繋がるだなんて話を聞いたことがないレオナは、彼女がニコチン依存症にでもなっているのではないかと考えに至り、思いっきり顔を顰めた。
Aの実年齢を知っている為に無理矢理止めることは不可能だが、だからといって依存性を発症しているのに放置出来るわけもない。
そんな彼の内心を察したのか、Aは再び紫煙をふうっと吐き出しつつ説明を始めた。
｢これは私が独自で開発した薬の一種です。煙管を使用しているのは、何処でも薬の服用が出来るからと言えば理解して頂けるでしょう｣
｢どっか悪ぃのか？｣
｢予防ですよ、予防｣
カンっと甲高い音を鳴らしながら雁首を軽く叩き、灰となった薬を地面へと落とす。
簡単に汚れを拭き取った後、襟元に煙管を仕舞ったAは一言も発さないままにレオナを見据えた。
仕事柄、匂いがつくことや変化することを嫌う彼女が煙草を吸うわけもなかったか、とレオナは内心酷く安心しながら溜息を吐き出す。
｢う……何時起きたんですか、貴方達｣
｢さっきだ｣
｢私はそもそも寝ておりません｣
どうやら、Aとレオナの話し声によって今度はアズールが目を覚ましてしまったようだ。
RPGゲームの素材集めの為に周回を行っているイデアを引き連れて、彼は眠たげに瞼を擦りながらバルコニーへと出てきた。
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神桜佳音(プロフ) - ゆるりさん» わざわざありがとうございます！更新楽しみにお待ちしておりますね！ (2020年6月13日 12時) (
レス) id: 8032f2476b (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 咲桜さん» こちらこそ素敵なリクエストありがとうございました！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
咲桜(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました！和歌のチョイスも素敵でした！ (2020年6月2日 21時) (レス) id: cb464004df (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 神桜佳音さん» そっちもありましたね！ 何となく思い浮かんだ歌を書いてたので……くっ、そっちでもよかったのに……！！ 後で出させて頂きます！ (2020年6月1日 23時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - こんばんは！いつも楽しく読ませていただいております！最新の更新の話で百人一首が出ておりましたが、君がためで、監督生君は春のに続けたのでしょう？おしからざりし命さえもあったのでは…？と思ってコメントしてしまいました！更新応援しております！ (2020年6月1日 22時) (レス) id: 06bd6db604 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年5月18日 1時
