Request：黒苧環を纏う ページ21
有名校が集まる舞踏会が開催される為、Aと踊る相手を決める全力鬼ごっこを行ったのを覚えているだろうか。
勝者はユニーク魔法を上手く使用し、レオナからAをかっ攫っていったラギーである。
男子校唯一の女子生徒ということで、会場入りのエスコートは教師が務めることとなっていた。
｢お待たせ致しました、クルーウェル殿｣
コツリ、と控えめに鳴ったヒール音と愛しい彼女の声を聞いて振り返ったクルーウェルであったが、Aの姿を視界に捉えた瞬間、瞠目して熱い吐息を吐き出した。
舞踏会に参加する女性といえば、シンデレラや美女と野獣のベルの様に明るい色のドレスを着ていることが多い。
そんな中、Aは態々透け感のある黒色のレース調ドレスを選んで身に纏っていたのだ。
胸上までがっつり開いているものの、はしたない感じがしないのはドレスの施された装飾のおかげである。
｢……っ、美しいな｣
｢お褒めに預かり光栄にございます｣
｢レースで艶を出しつつ、胸元を繊細な花で飾ることで下品さを消したのか｣
ボリュームの少ないドレスを選んでいるところが、何とも動きづらさを嫌うAらしい部分だろう。
歩く度にふわり、ふわりと揺れるレースが灯りに照らされたことで透け、Aの細くて白い脚がぼんやりと目に入ってきた。
自制の効く大人である己ならまだしも、思春期真っ只中の男子生徒達には目に毒となるかもしれない。
｢何かあればすぐに助けを呼べ｣
｢たかだか舞踏会でしょうに｣
｢何処にでも馬鹿な駄犬はいるものだろう？……まあ良い、行くぞ｣
ガチャり、とクルーウェルが扉が開くと同時に、会場内のシャンデリアや蝋燭から発せられている光が一気に視界を埋めつくした。
何処の世界であろうとも、こういう系統の催しは豪華で豪勢な飾り付けをされるのものなのか、と変なところで納得していれば、Aは何故か異様に会場が静かであることに気が付く。
何か粗相でもしてしまったであろうか、とクルーウェルを見上げたものの、彼はニヒルな笑みを浮かべただけだった。
｢胸を張れ。……あの仔犬共はお前の美しさに見惚れているだけだ｣
納得は出来ていないが、取り敢えず無礼な行動をとったわけではないと理解して、Aは静かに溜息を吐き出す。
そのままクルーウェルの手が腰に手を添えられ、エスコートを受けながら、Aは舞踏会の会場へと足を踏み入れたのであった。
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神桜佳音(プロフ) - ゆるりさん» わざわざありがとうございます！更新楽しみにお待ちしておりますね！ (2020年6月13日 12時) (
レス) id: 8032f2476b (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 咲桜さん» こちらこそ素敵なリクエストありがとうございました！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
咲桜(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました！和歌のチョイスも素敵でした！ (2020年6月2日 21時) (レス) id: cb464004df (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 神桜佳音さん» そっちもありましたね！ 何となく思い浮かんだ歌を書いてたので……くっ、そっちでもよかったのに……！！ 後で出させて頂きます！ (2020年6月1日 23時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - こんばんは！いつも楽しく読ませていただいております！最新の更新の話で百人一首が出ておりましたが、君がためで、監督生君は春のに続けたのでしょう？おしからざりし命さえもあったのでは…？と思ってコメントしてしまいました！更新応援しております！ (2020年6月1日 22時) (レス) id: 06bd6db604 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年5月18日 1時
