Request：弱き者、汝の名は女 ページ31
今日はナイトレイブンカレッジの学園祭。
こんな行事があるだなんてことも驚きであろうが、Aとしては学園祭があることよりも、何故か寮長達と劇を行わなければならないことに対して首を傾げていた。
各寮長と彼らが選出した者、または立候補者で保護者や来校者達を楽しませる為の劇をするらしいのだが、その面子の中にAが含まれていたのである。
本気で巻き込まれた理由が分からずに、彼女は不機嫌そうな雰囲気を漂わせながらドーナツを頬張った。
｢A〜、機嫌を直して欲しいっス｣
｢女性役ならばヴィルさんやエペルさん、ユウさんで務まるでしょう。何故、私が劇に参加しなければならないのですか｣
｢どうせなら花が欲しいじゃないっスか｣
｢なれば、イデアさんやオルトさんと共に裏方でも構わないでしょう｣
｢それだと花の意味がねぇだろうが｣
椅子に座るAの膝には狼化したジャックの顔がぽふんと乗せられており、尻尾をゆらゆらと揺らしながら彼女の懐柔を目論んでいる。
ラギーはドーナツで餌付けをしているし、レオナは彼女の腕に尻尾を巻き付かせながら髪を優しく梳いては機嫌を取っていた。
だからといってAが首を縦に振ることはなく、もくもくとドーナツを頬張り続けている。
｢劇の台本も何も決まっておりませんのに｣
｢お前がいないんなら俺はやらねぇ。おいクロウリー、俺は降りるぞ｣
｢俺もAがいねぇなら……｣
｢オレもっス。A、今からドーナツ食いに行かないっスか？｣
しかし、これは幾ら何でも自由奔放過ぎるであろう。
寮長は全員強制参加だとされているのに、ここでレオナに抜けられてしまえばイデアを筆頭に不参加者が増えてしまうのは考えなくとも分かることだ。
暴力で無理矢理言うことを聞かすわけではなく、言葉によって頷かざるを得ない状況を作り出すことで、Aを劇に巻き込むつもりなのである。
Aが感情の読み取れない瞳で三人を見据えるものの、彼らはふいっと顔を背けて知らぬ振りをし続けている。
そして、彼らの後方からは教員と寮長達に懇願の眼差しを向けられているのだ。
｢はぁ……分かりました、分かりましたよ｣
こうなった場合、Aには頷く他に選択肢など存在していないのだ。
諦めの溜息を吐きながら参加の意を示すと、上機嫌なレオナに肩を組まれ、ラギーにチョコレートドーナツを口に突っ込まれる。
早速配役を決めている面々を遠目で見つつ、彼女はマイペースにドーナツを咀嚼していた。
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ゆるり(プロフ) - ゆゆ。さん» 黒執事好きですよ！！ ハムレットが出てくるんですか……！？ 漫画の購入が途中で止まっていまして……笑 近々揃えてちゃんと読んでみます！ でも！ 黒執事は凄く好きです！！！ (2020年8月20日 1時) (
レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ。(プロフ) - 凄く面白いです！(前の作品にコメごめんなさい…)ハムレットって黒執事にも出てきますよね…！もしかして作者様黒執事好きだったりしますか…？私的にはハムレット出てきて嬉しかったです（笑） (2020年8月19日 16時) (レス) id: ead64206de (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - マツリカさん» こちらこそリクエストありがとうございました！私もクルーウェル先生大好きなので書いていて楽しかったです！ (2020年5月22日 6時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
マツリカ(プロフ) - クルーウェル先生のお話ありがとうございました！！一生の宝物にしますうううつ！！！！ (2020年5月22日 6時) (レス) id: 88d493ffab (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - えむさん» こちらこそありがとうございました！ 勿論、リクエストは受け付けております〜！私でよければまたどうぞ！ (2020年5月21日 16時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年5月3日 19時
