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「まぁ要するに、貴方の狙撃は意味が存在していたのですから失敗ではないということです。ご理解頂けましたでしょうか」
「ふふっ、はい。よく分かりました」
Aは自分の口調が硬いことを知っているし、無表情なことも相俟って冷たい人間だと思われることも慣れている。
実際に幾つかの感情が欠落している為、他人の感情を読み取れても理解出来ないことも多かった。
だが、先程までのジェイドが落ち込んでいて、自分に対して申し訳ないと思っていることだけは分かったのである。
"慰める"という行為は苦手だが、だからといって放置出来る程にAAという人間は冷たいわけではなかったのだ。
現に今、ジェイドが嬉しそうに満面の笑みを浮かべていることに安堵し、彼女はバレないよう静かに安堵の息を吐き出している。
「さて、そろそろユウさん達と合流致しましょう」
「そうですね。では、お手をどうぞ」
無駄ではないかもしれないが、此処で会話に時間を費やす必要性もないだろう。
Aがそう思って声を掛けると、ジェイドは態々前に回って手を差し出してきた。
怪訝な表情で見上げてくるAのことをサラッと受け流し、ジェイドは多少強引に彼女の左手を握ると、ゆったりとメインストリートへと歩き始める。
こういう時のジェイドには何を言っても無駄だ。
"リーチ兄弟のマシな方"だなんて言われたりもしているが、彼も鱓であるしフロイドの片割れである。
「……はいはい」
諦めて自由にさせた方が良い、と判断したAは彼の手を緩く握り返し、横に並んで森を抜ける為に歩き出した。
頻繁に山へと足を運ぶジェイドと、元の世界で森や山やらを駆け回ることが多かったAであれば、学園内の整備されたら森を抜けるだなんて容易いことである。
二人はメインストリートに出たと同時に、きょろきょろと辺りを見回していたケイトとバッチリ目が合った。
「皆さん、無事ですか?」
「やっぱり、ジェイドくん! それにAちゃんも!」
「Aちゃん〜〜!! 僕のオアシス……!!」
「何を仰っているのですか、貴方」
ケイトとジェイドという笑顔の裏が怖い二人と共に行動し、更には怪物チームからひたすら追いかけられていたユウにとって、Aは常識の範囲内での行動をとってくれる相手なのだろう。
ジェイドに握られていない左腕にひしっと抱きつき、意味不明な発言をしたユウに対して、彼女から呆れた溜息が返された。
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ゆるり(プロフ) - ゆゆ。さん» 黒執事好きですよ!! ハムレットが出てくるんですか……!? 漫画の購入が途中で止まっていまして……笑 近々揃えてちゃんと読んでみます! でも! 黒執事は凄く好きです!!! (2020年8月20日 1時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ。(プロフ) - 凄く面白いです!(前の作品にコメごめんなさい…)ハムレットって黒執事にも出てきますよね…!もしかして作者様黒執事好きだったりしますか…?私的にはハムレット出てきて嬉しかったです(笑) (2020年8月19日 16時) (レス) id: ead64206de (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - マツリカさん» こちらこそリクエストありがとうございました!私もクルーウェル先生大好きなので書いていて楽しかったです! (2020年5月22日 6時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
マツリカ(プロフ) - クルーウェル先生のお話ありがとうございました!!一生の宝物にしますうううつ!!!! (2020年5月22日 6時) (レス) id: 88d493ffab (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - えむさん» こちらこそありがとうございました! 勿論、リクエストは受け付けております〜!私でよければまたどうぞ! (2020年5月21日 16時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆるり | 作成日時:2020年5月3日 19時