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リリアはAのことを抱き締めたまま魔法を使用し、選手控え室と思わしき部屋へと移動した。
腰と背中に腕を回され、逃げられない体勢で何時になく真剣な面持ちをした彼に顔を覗き込まれる。
｢さてA、お主には聞きたいことがあるのじゃ。Aよ、どこまで知っていた？｣
｢レオナさん達がマジフト大会で優勝をする為に、有力選手に怪我をさせていたことは知っています｣
｢何故それを知らせず、止めようとせんかった｣
｢彼らはこれを"戦"だと称しました。戦ならば、己が勝利を得る為に妨害工作を行なっても何ら不思議はないでしょう。……まぁ、まさか民を巻き込むとは思いも寄りませんでしたが｣
｢ほほう？ 戦をするのは構わんが、人々を巻き込むなと言うことじゃな？｣
｢当たり前でしょう。そんなもの、戦でもないただの暴力行為と変わりない｣
Aにとって民は守り、救う存在。
別にレオナとラギーが"戦"の真似事をしても構わないが、民を巻き込み、挙句の果てに怪我をさせたことに対して不満を抱いていたのだ。
リリアとしては、ディアソムニア寮を狙われたことにも苛立っていたのだが、何よりAが何故彼らを止めなかったのかを知りたかったのである。
脅されていたのか、それとも協力者だったのか。
答えは全て否、Aはただ彼の思いを尊重し、静観に徹していただけだった。
｢やはり……お主は面白いのう。誰をも肯定し、一方では誰もを否定し、常に中立の立場に立ち続けておる｣
｢私はそのような善人ではありませんよ。ただ、どちらの言い分も理解が出来ていたので、どちらにも偏らなかっただけです｣
｢ふふふ、あくまで冷たい人間だと言い張るか？ まあよいが……ではAよ、もう一度わしに力を貸しておくれ｣
｢……構いませんよ。責任の一端は私にもありますからね｣
｢だそうじゃぞ、お主ら｣
控え室の扉を開けて入ってきたのは、ミント色の髪の男性と銀髪の男性であった。
やはりか、とAは予想を確信に変える。
｢先程の彼ら、ケイトさんのユニーク魔法ですね｣
｢あったり〜！ 流石Aちゃんだね｣
｢で、リリアさんが私に尋問しつつ、その方々は私の真意を知る為に待機していたと｣
｢じゃが、既に気付いていたのじゃろう？｣
ずっと部屋の外から気配と視線を感じていれば、大体予想は出来るものだろう。
そのことをサラリと伝えると、銀の彼とミントの彼は口を開いたまま固まってしまった。
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レイ - とても面白くていつも見させて頂いています！更新楽しみにしてるので頑張って下さい！ (2020年4月12日 14時) (
レス) id: 906bb64cc1 (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 何度も読み返す程、とても面白いです！いつも素敵な作品をありがとうございます！ (2020年4月10日 12時) (レス) id: 3dee49fcd0 (このIDを非表示/違反報告)
最初は、ぱー(プロフ) - 面白すぎて、イッキに読んでしまった…………。ゆるりさん無理のない程度に更新頑張ってください！ (2020年4月10日 3時) (レス) id: 9e43d059be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月9日 13時
