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｢シシシッ！ 三人がかりでそんなもんスかぁ？ 大したことないっスねぇ｣
｢ぜー、はー、な、何なのアイツ！？ めちゃくちゃすばしっこい！｣
｢はぁ、ただ足が速い、というより、はぁ、高低差を飛び越える能力が尋常じゃないな｣
｢ふなぁあぁ……オレ様でも追いつけないなんて……｣
｢つーかA！ 何でお前そいつと一緒に逃げてんの！？｣
｢巻き込まれました｣
｢またかよ！！！｣
｢今まで大半は貴方達が巻き込み要因ですからね｣
可愛らしい笑顔で盛大に煽るラギーを、ユウ達は息を荒らげてへたり込みながら睨み返している。
一般よりは体力もあるし、足も速いようだが相手はラギーとAなのだから相手が悪かった。
スラム育ちで足場の悪い所を駆け回っていたラギーと、一日中戦い続けることなど普通にあるAに身体能力で勝てるわけがないのだ。
｢シシシッ！ こんなん、スラムの裏道に比べたら余裕っスよ。つかさぁ、もしここでオレを捕まえたって、アンタらオレが犯人って言い切れなくないっスか？｣
｢なんだと？｣
｢だって、"オレが怪我させたって証拠"、ないっスよね？ 誰かオレが魔法使ってるとこ見たんスか？ そんで、それ写真に撮ったりしたんスか？ してないっスよねぇ？｣
｢うぐっ……そ、それは｣
｢た、確かに……。でも卑怯な……！｣
｢卑怯者？ 褒め言葉っスわ｣
果たして卑怯者なのだろうか。
いきなり魔法を使用されるのを防ぐ為にマジカルペンを一旦盗んだだけであるし、誰でも複数人から囲まれて尋問されるのは嫌だろう。
Aからすれば、ラギーは嫌なことをされない為に先手を打って、状況を打破しただけのように思えていた。
｢卑怯者ねぇ……｣
｢シシシッ！ やっぱAはわかってくれてるッスね！｣
彼女の言葉の裏に隠されたものがユウの発言に対する呆れであり、自分に対して悪い感情を抱いていないことが分かった為、彼は嬉しそうに破顔する。
｢さっき盗ったマジカルペンは此処に置いとくっスよ。じゃあA、また昼休みにね！ ばいばーい♪｣
そのまま中庭の芝生を横断し、教室へと戻っていくラギーの背中を睨みつけながらユウ達は文句を零していた。
｢くっそ〜！ 腹立つ〜！｣
｢ローズハート寮長に首をはねられる……｣
｢てかAも手伝ってくれよ！ あのままAが動かなかったら、足止め出来たんじゃねえの？｣
｢頼まれていませんもの｣
Aから放たれた正論がエースの胸に刺さり、言い返せずに彼は沈黙した。
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レイ - とても面白くていつも見させて頂いています！更新楽しみにしてるので頑張って下さい！ (2020年4月12日 14時) (
レス) id: 906bb64cc1 (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 何度も読み返す程、とても面白いです！いつも素敵な作品をありがとうございます！ (2020年4月10日 12時) (レス) id: 3dee49fcd0 (このIDを非表示/違反報告)
最初は、ぱー(プロフ) - 面白すぎて、イッキに読んでしまった…………。ゆるりさん無理のない程度に更新頑張ってください！ (2020年4月10日 3時) (レス) id: 9e43d059be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月9日 13時
