チェシャ猫が笑う ページ18
ぽふり、と何者かの体に背中が触れて、それによってミニドレスの裾がふわりと揺れ動く。
｢ふんふふーん♪ トレイのお菓子は何時食べても絶品だにゃあ〜｣
Aが持っている皿からタルトが浮き、それが頭の上で齧られた音が聞こえてきた。
下腹部あたりには男性の腕が回されており、彼女の体が自分から離れないようにガッチリた固定されている。
頭を少しだけ後ろに倒して見上げると、Aと同じく紫色の髪を持つ男性の金色の瞳がこちらを覗き込んできた。
そして頭の上には猫耳が。
｢……にゃんこ｣
｢にゃあ♪ なんつって〜、俺の耳が気になるのかにゃあ？｣
ここで動物好きを発揮させるところがAらしい。
マイペース組二人がのんびり話しているが、初対面でここまで仲良さげに話しているのが可笑しいのだが。
驚愕したリドルが、慌てて彼に話しかけた。
｢チェーニャ！？ 何で此処に！？｣
｢ん？ なんでもない日だからお祝いに来ただけさ。おめでとう、リドル｣
｢なんでもない日はハーツラビュル寮の伝統行事だ。キミには関係ないだろう？｣
｢それはそっちの人達も同じじゃにゃーの。それにこの子も、ね｣
チェーニャの視線の先にはユウとグリム、そして本人に抱き締められているAの三人である。
どうやらユウ達は面識があったらしく、目をまん丸にして彼のことを観察していた。
｢あっ、オマエ！ こないだ会ったにゃあにゃあ喋る変なヤツ！ そういえば、結局オマエはどこの寮なんだゾ？｣
｢そもそもチェーニャはうちの学園の生徒じゃない。ナイトレイブンカレッジの長年のライバル学校、ロイヤルソードアカデミーの生徒だ｣
｢えぇっ！？ 違う学校の生徒！？｣
｢しかもロイヤルソードアカデミー！？｣
Aとユウはよく分かっていないが、どうやら優秀な魔法士を育成する魔法学校の一つらしい。
ナイトレイブンカレッジのライバル校というだけあって、この場にロイヤルソードアカデミーの生徒が混ざり込んだというだけなのに周囲の生徒は殺気立つ。
彼のことを探し出し、此処から追い出す為に動き出したのを察知したチェーニャは背景に姿を溶かしていった。
｢おっと。それじゃ、タルトも食べたし俺は帰るとするかにゃ。フッフフーン♪ ……ああ、後｣
ぽそり。
チェーニャは何かを思い出したのか、Aの耳元に口を寄せてぽそぽそと呟くだけ呟いてそのまま消えたのだった。
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レイ - とても面白くていつも見させて頂いています！更新楽しみにしてるので頑張って下さい！ (2020年4月12日 14時) (
レス) id: 906bb64cc1 (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 何度も読み返す程、とても面白いです！いつも素敵な作品をありがとうございます！ (2020年4月10日 12時) (レス) id: 3dee49fcd0 (このIDを非表示/違反報告)
最初は、ぱー(プロフ) - 面白すぎて、イッキに読んでしまった…………。ゆるりさん無理のない程度に更新頑張ってください！ (2020年4月10日 3時) (レス) id: 9e43d059be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月9日 13時
