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漸くポムフィオーレ寮の自室へと入ることが出来たAは、備え付けのベッドに足を組んで座り、状況整理を始めた。
魔法は使えない、かといって、今の状況では霊力など欠片も使えないだろう。
そう分かった理由としては、今までに感じたことのない体の倦怠感からであった。
｢刀も呼び出せない……結界も張れない。出来るのは己の体で動くことのみ……何とも厄介ですね｣
ナイトレイブンカレッジは名門魔法士養成学校。
ユウのように魔法を使えないのも痛いが、使える筈の霊力を使用不可というのもなかなか痛い。
クロウリーには知らせておいた方が良いだろう、と判断したAは一旦外へと出ようと考えた。
制服の乱れを直して立ち上がったその時、コンコンと部屋の扉がノックされる。
｢……どうぞ｣
｢ふふ、失礼するわね。アラ、何処かに出かけるところだったかしら？｣
｢少し学園長殿にお話がありまして｣
｢それなら部屋まで案内してあげるわ。アタシも聞いて大丈夫な話かしら？｣
｢ええ、まぁ……知らないと寧ろ面倒事になる可能性があるので｣
にっこり、と笑ったヴィルに案内を受けつつ、Aはクロウリーの部屋へと歩き出した。
そういえば、彼が訪ねてきた理由は何であったのだろうか。
途中で聞いてはみたものの、ヴィルは笑ってはぐらかすだけで内容は教えてはくれない。
態々口を閉ざすということは、そこまで重要性のある話ではないと判断し、Aは話を掘り返すことはしなかった。
＊＊＊
｢霊力が使えない！？｣
｢はい｣
｢何でそんなに落ち着いてるんですか、貴女！｣
｢想定内でしたから｣
冷静な態度を崩さないAを不思議に思ったのか、付き添いのヴィルが彼女の顔を覗き込んで瞳で理由を問う。
｢闇の鏡が仰っていた通り、魔力と霊力は異なる物です。魔法を使用することが常なこの世界で、異質なモノである霊力が使用出来るとは思えませんでしたから｣
｢成程、そういう理由ならば考えられます。うーむ……しかし、その場合、Aさんが学園にいることは難しくなってきますねぇ｣
妥当な判断だ。
魔力を持たないユウは、魔法を使用出来るグリムと二人で一つとなることで学園にいることが出来る。
だがAの場合、魔法士の適性はあるものの、肝心の魔力は存在していないし、霊力を代わりとすることも出来ないのだから。
何の感情も出さないAに対し、何故だかヴィルが不満げな表情を浮かべていた。
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にゃーちゃん - とても面白いです！これからも頑張ってください！ (2021年5月16日 20時) (
レス) id: 6c3b400c86 (このIDを非表示/違反報告)
しおあめ。(プロフ) - 突然のコメント失礼します。フロイドが主人公につけたあだ名の"クリオネ"は、すでにオルトを指すものとして使用されていたと思います。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: e70718cc0c (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - はぁーー好みです！面白いです！！ (2020年5月30日 16時) (レス) id: fe50b1b3b6 (このIDを非表示/違反報告)
蝶妃 - 夢主ちゃんとキャラの絡みが見ていて面白いです！マレウス様やリリア様ともっと絡んで欲しいですね。これからも頑張ってください！！ (2020年4月8日 7時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - 初めまして、読んでいて楽しい作品ですね、主人公のキャラも結構好きです。勿論ゆるりさんのペースで更新頑張ってください (2020年4月7日 22時) (レス) id: 008426968d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月2日 1時
