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「ハートの女王の法律・第562条、『なんでもない日のティーパーティにマロンタルトを持ち込むべからず』……これは重大な法律違反だ! 何てことをしてくれたんだい!?」
「だ、第562条!?」
「全部で何条まであるんですか!?」
「全810条、ボクは全て頭に入ってるよ。寮長なんだから当然だろう」
瞬間記憶能力を持って生まれたAからすれば、その程度簡単だろうが、普通の人間ならそんなに沢山の法律を覚えることは不可能だ。
もしも覚えられたとしても、かなりの時間をかけなければならないだろう。
リドルの勤勉さと努力家な部分は賞賛に値するが、些か厳し過ぎる気もする。
「ハートの女王の厳格さを重んじるハーツラビュル寮長であるボクが、この違反に目を瞑ることは出来ない。マロンタルトはすぐに破棄しろ! それから、こいつらを寮外へ摘み出せ!」
「ちょっと待てよ! そんな無茶苦茶なルールがあるか!」
「そうだゾ! 捨てるんだったらオレ様が食う!」
「寮長、申し訳ありません。マロンタルトを作ろうと言ったのは俺です」
「そうそう。まさかそんな決まりがあるなんて全然思ってなくて」
「作ったことが問題なんじゃない。今日! 今、此処に! 持ち込んだこと"だけ"が問題なんだ!」
トレイとケイトがエースのことを庇うものの、法律違反に厳しいリドルには通用せずに一蹴されてしまった。
戦国時代に生きていたAではあるものの一般常識は備わっているし、真っ当な法律が行使される世界を生きてきている。
つまりは、元々ハートの女王の法律が無茶苦茶で、ハートの女王にだけ利益がいくようなものなのだから、それを施行していれば反論を抱く者が出てきて当然なのだ。
「取り敢えず落ち着いて下さい、リドルさん」
「A……」
上に立つ者の感じる重圧も、与えられる責任もよく理解しているAは、リドルの寮服の袖を掴んでくいっと軽く引っ張る。
まずはこれ以上ヒートアップさせないことが先決だ。
「規律違反をしたエースさんも悪いかもしれませんが、このマロンタルトは貴方への謝罪の気持ちです。無下にしてはなりません」
「でも……!」
「そこの方、マロンタルトを廃棄するのではなく冷蔵庫へと運んで頂けますか」
「お、俺!? わっ、分かった!」
「エースさんも、まずは言葉遣いから修正なさい。目上の方にタメ口は有り得ません」
「でもさぁ……!」
反論しようとしたエースを、Aは絶対零度の瞳で黙らせた。
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にゃーちゃん - とても面白いです!これからも頑張ってください! (2021年5月16日 20時) (レス) id: 6c3b400c86 (このIDを非表示/違反報告)
しおあめ。(プロフ) - 突然のコメント失礼します。フロイドが主人公につけたあだ名の"クリオネ"は、すでにオルトを指すものとして使用されていたと思います。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: e70718cc0c (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - はぁーー好みです!面白いです!! (2020年5月30日 16時) (レス) id: fe50b1b3b6 (このIDを非表示/違反報告)
蝶妃 - 夢主ちゃんとキャラの絡みが見ていて面白いです!マレウス様やリリア様ともっと絡んで欲しいですね。これからも頑張ってください!! (2020年4月8日 7時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - 初めまして、読んでいて楽しい作品ですね、主人公のキャラも結構好きです。勿論ゆるりさんのペースで更新頑張ってください (2020年4月7日 22時) (レス) id: 008426968d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆるり | 作成日時:2020年4月2日 1時