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彼女の後ろに立っていたのは、ブラウンの髪の長身の男性であった。
そして頭の上には立派な耳がひょこりとついている。
どこか警戒した様子の彼は、Aのことを鋭い目付きで見下ろしながら喉を鳴らして威嚇してきた。
｢特待生か｣
｢はい｣
｢てめぇ……何者だ。気配は薄いし、歩く時に足音がしねえ。普通のヤツじゃ出来ねえことをしてやがる｣
｢何者と言われましてもねぇ。異世界から強制的に送られた人間です｣
｢聞いてんのはそれじゃねェ｣
のらりくらりと躱そうかとも思ったが、目の前の肉食動物はきっと簡単に逃してはくれないだろう。
であるならば、さっさと彼の気になっていることを話してしまった方が後々楽になるに違いない。
そう理解したAは、近場に設置されていたベンチに腰を下ろして彼を隣に座るように誘導した。
｢気配が薄いのは身を隠さなければならないことが多いから、歩く時に音がしないのはナンバのようなあるき方を癖にしているからですね。同じ手足を出しているわけではありませんが、まぁ納得して頂けると幸いです……簡単に言えば、暗殺技法の一つですね｣
その言葉に彼は目を見開いた。
如何にも草食動物で、捕食される側だと思っていたAが実は捕食者であることに驚いたのである。
それと同時に愉快だとも思った。
｢そうか……｣
｢質問は以上でしょうか。それならば、私はこれに――っ｣
｢まあ待て｣
制服のブラウスの襟を後ろから掴まれ、更には引っ張られた為にAは一瞬だけ苦しさを覚える。
それと同時に、彼のマイペースぶりに苛立ちもしたのだが、初対面で怒るのも不躾だろうと抑え込んだ。
そのまま素直にベンチに座り直すと、隣で満足げな彼が顔を覗き込んでくる。
この学園は何奴も此奴も距離感が狂っている人間しかいないのだろうか。
｢俺はレオナ・キングスカラー、サバナクローの寮長だ。何か困ったことがあれば俺を頼れ。お前なら、サバナクローは歓迎するし全力で守ってやる｣
｢……随分と唐突ですね。先程は警戒心剥き出しだったというのに、今は真逆ですけれど｣
｢くくっ、お前のことが気に入ったんだよ。物怖じしねぇし、女の割には肝も座ってる。それに何処かのヤツらと違って香水臭くもねぇしな……まずお前、つけてもないだろ？｣
｢ないですね、邪魔くさい｣
こういう強気な態度が気に入ったらしい。
レオナはニヒルな笑みを浮かべると、Aの右手をとって口元へと運び、そっと人差し指に甘噛みした。
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にゃーちゃん - とても面白いです！これからも頑張ってください！ (2021年5月16日 20時) (
レス) id: 6c3b400c86 (このIDを非表示/違反報告)
しおあめ。(プロフ) - 突然のコメント失礼します。フロイドが主人公につけたあだ名の"クリオネ"は、すでにオルトを指すものとして使用されていたと思います。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: e70718cc0c (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - はぁーー好みです！面白いです！！ (2020年5月30日 16時) (レス) id: fe50b1b3b6 (このIDを非表示/違反報告)
蝶妃 - 夢主ちゃんとキャラの絡みが見ていて面白いです！マレウス様やリリア様ともっと絡んで欲しいですね。これからも頑張ってください！！ (2020年4月8日 7時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - 初めまして、読んでいて楽しい作品ですね、主人公のキャラも結構好きです。勿論ゆるりさんのペースで更新頑張ってください (2020年4月7日 22時) (レス) id: 008426968d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月2日 1時
