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元の世界に戻ると、Aはただの一般女性ではなく、名だたる戦国大名と肩を並べる、更には上をゆく女武将という名前が付きまとう。
つまりは、此処にいようとあちらに戻ろうとも正式な式典の場に参加することが多々あるのだ。
ポムフィオーレ寮の中で、Aがユウと同じく異世界の人間であることを知っているのはこの三人のみ。
ならば大丈夫だろう、と簡単に訳を説明すると、ヴィルは満足げに頷いた。


「いいわ、任せない。Aをとびっきり美しくしてあげるわ。あ、勿論、今も他の女と比べ物にならない位に美しいわよ?」

「どうも……?」

「ははっ、Aちゃんはあんまり自分の評価を気にしないもんね」

「他人からどう思われても構いませんし、良く見られたことなど極僅かですしね」

「それはどういうことかな? 雪の女王のような容姿なら、見惚れる者も沢山居るだろうに!」


Aの異名。
それは彼女の美しい見目や丁寧な性格から付けられたものではなく、彼女の鬼神と見間違うような戦ぶりからきたもの。


「私の渾名、容姿から付けられたわけではありませんし……それに冷たく見られることが常なので」


彼女の説明に納得してしまった彼らがいた。
しかしここで諦めないのがルークであり、彼は興味津々に付けられた異名について掘り下げる。
名前くらい教えても構わないか、と判断した彼女はラングドシャクッキーを食べながら言葉を紡いだ。


「姫夜叉」

「は?」

「それと、血濡れの虞美人ですね」

「え、あ、いや……そんな渾名が……?」


平然と言ってのけるAに、ルークもヴィルも冷や汗を垂らして口角を引き攣らせたのであった。



***


Riddle side

今日、ボクの気分は朝から良かった。
ハートの女王の法律を破った生徒がいても首をはねずに注意に留まったし、口調もキツくなかった気がする。
一緒に朝食をとったトレイとケイトから不思議がられたけど、そんなことも気にならなかった。


「……! おはよう、A」

「おはようございます、リドルさん」


寮から出ると、そこには会いたいと思っていたら彼女が凛と佇んでいた。
ふわり、と美しい紫色の髪が風に遊ばれて舞い上がり、日光に照らされてキラキラと煌めく。

丁寧な口調、淑やかな所作、物静かな性格。
昨日出会ったばかりだというのに、ボクは彼女のそれらに安らぎを覚えている。


「昨日はありがとうございました。ブレザー、遅くなりまして……」

「構わないよ」


ああ、今日は良い一日だ。

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にゃーちゃん - とても面白いです!これからも頑張ってください! (2021年5月16日 20時) (レス) id: 6c3b400c86 (このIDを非表示/違反報告)
しおあめ。(プロフ) - 突然のコメント失礼します。フロイドが主人公につけたあだ名の"クリオネ"は、すでにオルトを指すものとして使用されていたと思います。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: e70718cc0c (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - はぁーー好みです!面白いです!! (2020年5月30日 16時) (レス) id: fe50b1b3b6 (このIDを非表示/違反報告)
蝶妃 - 夢主ちゃんとキャラの絡みが見ていて面白いです!マレウス様やリリア様ともっと絡んで欲しいですね。これからも頑張ってください!! (2020年4月8日 7時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - 初めまして、読んでいて楽しい作品ですね、主人公のキャラも結構好きです。勿論ゆるりさんのペースで更新頑張ってください (2020年4月7日 22時) (レス) id: 008426968d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆるり | 作成日時:2020年4月2日 1時

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