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「私、生まれは平成時代ですので」

「??」

「……分からない方ですね。つまり、私は平成時代に生を得て、その後戦国時代に飛ばされたのですよ」


まさかの二重トリップ、それも平和な時代から戦の溢れる危険な世界へと。
Aからすれば平成も危険だらけであった為、どちらかといえば戦国時代のが生きやすかったのだが、それはまた後々話そう。


「はぁ、はぁ……っ!」

「やっ……た?」

「か、勝った……オレ様達が勝ったんだゾ!」

「「「いぇーい!」」」


「皆すっかり仲良しだね?」

「不仲よりは良いのでは」


違う、と必死に否定してきても意味がない。
顔も赤いし、変な汗も流しているし、説得力など皆無なのだから。
その後、照れ臭そうにそれぞれを褒め合ってから四人は学園へと戻る為に歩き出す。
その時、ふとAはナニカを感じ取って立ち止まり、後ろを振り返った。


「……。」


気の所為かと納得させて、Aは歩くのを再開させ、前方を歩く四つの背中に追いついた。



***



学園長室の扉へと辿り着いたところで、Aは今まで閉ざしていた口を開く。


「では、私はこれにて」

「「は!?」」

「な、何で?」

「そもそも私は退学宣言されておりませんし、貴方達に付き合っただけです。学園長殿への報告はお任せ致します。私は寮へと戻りたいので……何より用事も済んでおりませんし」


「用事?」

「新しい制服の発注ですよ。何処かの誰かさんにスカートを燃やされたものですから」

「「う"……!」」

「ということで、お疲れ様でした」


何と淡白な別れ方であろうか。
言葉の通り、Aは挨拶だけを残してさっさと歩いて帰っていってしまう。
呆然とした彼らであったが、退学を取り消してもらう必要があったので慌てて学園長室へと飛び込み、先程起こった出来事を説明し始めたのだった。

その頃一方、売店で注文を済ませた彼女は薄暗い学園内を歩いて寮へと向かっていた。
これ以上崩れないようにして貰っているとはいえ、焦げた制服で何日も生活するのはあまりにも不格好であろう。
ローファーの踵が石畳をノックする音だけが響いていたのだが、その音が突如として増える。


「君、こんな時間にどうしたんだい?」

「……寮へと戻るところです」

「そうか。なら途中まで送ろう」

「いえ、その必要はありませんよ」

「女性の一人歩きは学園内とはいえ危険だよ」


彼はそう言って、Aの手を優しく、それでいて強引に握った。

真紅の君→←9



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にゃーちゃん - とても面白いです!これからも頑張ってください! (2021年5月16日 20時) (レス) id: 6c3b400c86 (このIDを非表示/違反報告)
しおあめ。(プロフ) - 突然のコメント失礼します。フロイドが主人公につけたあだ名の"クリオネ"は、すでにオルトを指すものとして使用されていたと思います。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: e70718cc0c (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - はぁーー好みです!面白いです!! (2020年5月30日 16時) (レス) id: fe50b1b3b6 (このIDを非表示/違反報告)
蝶妃 - 夢主ちゃんとキャラの絡みが見ていて面白いです!マレウス様やリリア様ともっと絡んで欲しいですね。これからも頑張ってください!! (2020年4月8日 7時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - 初めまして、読んでいて楽しい作品ですね、主人公のキャラも結構好きです。勿論ゆるりさんのペースで更新頑張ってください (2020年4月7日 22時) (レス) id: 008426968d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆるり | 作成日時:2020年4月2日 1時

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