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所々黒色に染まり、腐敗がかなり進んでいる木の破片は、Aが指で少し触れただけでも割れて崩れてしまう。
随分とお粗末でチンケな魔法を使ってきたものだ、と内心馬鹿馬鹿しく思いながらも、彼女は一切の容赦なく木を握り潰した。
｢これは取り換え子の真似事ですよ、シルバーさん｣
取り換え子、とは。
人間の子供が連れ去られた際に、代わりとして置いていかれた妖精のことや、連れ去られた子供のことを指す言葉だ。
ストックやフェッチとも呼ばれており、魔法をかけられた木の欠片が残され、たちまち弱って死んでしまうこともあるらしい。
つまり、連れ去られた子供は"彼女の美しい髪"のことであり、妖精は代わりとして魔法でネックレスに見せかけた木の破片を送ってきたということである。
それも、呪いのかけられた木の破片をだ。
｢くくっ……女王の前で恥をかかされたのが余程気に入らないらしい。愚かだな｣
｢なめられているものですよねぇ……先に手を出してきたのは相手だというのに｣
｢くふふ、やり返すか？｣
｢いえ、やめておきます。同列にはなりたくないですし、何より関わりたくもないですので｣
Aは転移魔法でクロウリーの元にネックレスであったものを送ってからソファに腰を下ろし、シルバーが入れてくれたミルクティーを一口飲む。
ここまで下に見られているのには腹立たしく感じるものの、やり返すのは時間と労力の無駄だと感じた結果であった。
こういう馬鹿な頑固者には反応を示さないに限る。
Aがそんな考えをしていることに気が付いたのか、先程まで不機嫌極まりなかったマレウスやセベクも表情を和らげた。
｢Aの為に茨の谷から沢山の菓子を取り寄せたんだ。好きなだけ食べると良い｣
｢紅茶も色々と揃えてあるからのう、飲みたいものがあったら言うのじゃぞ？｣
｢ありがとうございます。では……そのブラウニーを頂いてもよろしいでしょうか｣
｢分かった、これだな｣
そうして始まったのは静かなお茶会。
普段は大声を出しているセベクも居るが、Aが煩い空間を嫌うことを知っている為に声量を抑えているらしい。
マレウスやリリアと高度な技術を必要とする魔法について意見を交換したり、セベクとまた馬に乗る約束をしたり、はたまたシルバーと剣での手合せをすることになったり。
ゆったりとした空気に眠気を誘われたのか、ぽすりとシルバーの頭がAの肩に置かれ、そのまま滑り落ちて太腿へと落ち着いたのであった。
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ゆるり(プロフ) - 哭狼さん» ありがとうございます〜〜！ 嬉しいです……更新頑張れます！これからもどうぞ、よろしくお願い致します！ (2020年7月2日 9時) (
レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
哭狼 - ゆるり様、夢主の推察能力が半端なくて素敵でした！物語の続き楽しみにしてます。この作品が、大好きです(^^)すごく面白かったですm(__)m (2020年7月2日 2時) (レス) id: adf4aefcff (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - リリア最推しさん» 勿論出演予定ですよ！この後のお話に出てきますので、少々お待ちくださいませ！ (2020年6月28日 14時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
リリア最推し - 夢主の髪が切られたら1番黙ってない妖精王が居ますけど、出演ありですか？？ (2020年6月28日 13時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 哭狼さん» お褒めいただき光栄です〜！ 私の文章能力で、書きたいことが伝わるか不安でしたが……良かったです！ (2020年6月28日 8時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年6月21日 12時
