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少し時間を巻き戻していこう。
ユウ達に見付からないように、こっそりと植物園の中へと足を踏み入れ、受付を済ませたAは子供ドラゴンと一緒に待機スペースに身を潜めていた。
どうやらドラゴンは妖精属に振り分けられているらしく、何も咎められることなく済んだのである。
｢続きまして……エントリーナンバー15。先程と同じく今年初参加の方の登場です！ 題目は"寒月に消える蝶"！｣
Aはランウェイの入口に立つと、子供ドラゴンの頭を一撫でしてから足を一歩踏み出し、こつんっと音を鳴らして歩き出した。
｢(小咲を殺された時を……彼を失った時を思い出せ。あの時の絶望を、悲哀を、虚無を)｣
ほろり、ほろり、と色味の違う碧玉から真珠の様な涙が溢れ出し、頬を伝って顎から床へと落ちていく。
今の己は遊女の身だと言い聞かせ、偽りの愛を囁きあう関係性でいなければならない筈の男に対して、本物の愛を抱いてしまった愚かな遊女を演じているのだ。
彼の心が欲しい、だけれども、そんな言葉を口にしてしまえば彼の体すら与えられなくなってしまう。
愛が欲しい、心が欲しい、総てが欲しい、なのに己は見ず知らずの男に春を売る卑しい身分。
｢(二度目の恋なんてしていないが……あの方と出会えた時の幸福感ならば)｣
フェアリーガラは春の祝祭、本来ならば涙は似合わないものだ。
何故だかヴィルとクルーウェルが遊女の着物を気に入った為に、この格好をしているものの、遊女や花魁の背景を考えてみれば不適切である。
だが、彼らがこの姿のままでの成功を望むのならば、叶える為に尽力するのが道理であろう。
｢(恋する乙女、の声や表情なんて知らないのだがなぁ)｣
くるりと一回転。
それに合わせて裾と袖が浮き上がり、
涙を流したまま力強く一歩を踏み出し続けるAは、妖精達に気が付かれないような一瞬でレオナに視線を送った。
彼女から日本の歴史や文化を聞いており、尚且つ今の格好が花魁を模したものだと聞いていたレオナだからこそ、その意図を完全に理解することが出来たのである。
｢絶対振り向いて欲しい、遅かったけど諦めたくない……だって、好きだから｣
少しずつステップと舞いのリズムが速くなり、美しくありながらも弾けるような軽快な足取りで、レオナの立つ方へと近寄って行く。
何時の間にか涙は止まり、Aの表情は柔らかなものへと変化していた。
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ゆるり(プロフ) - 哭狼さん» ありがとうございます〜〜！ 嬉しいです……更新頑張れます！これからもどうぞ、よろしくお願い致します！ (2020年7月2日 9時) (
レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
哭狼 - ゆるり様、夢主の推察能力が半端なくて素敵でした！物語の続き楽しみにしてます。この作品が、大好きです(^^)すごく面白かったですm(__)m (2020年7月2日 2時) (レス) id: adf4aefcff (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - リリア最推しさん» 勿論出演予定ですよ！この後のお話に出てきますので、少々お待ちくださいませ！ (2020年6月28日 14時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
リリア最推し - 夢主の髪が切られたら1番黙ってない妖精王が居ますけど、出演ありですか？？ (2020年6月28日 13時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 哭狼さん» お褒めいただき光栄です〜！ 私の文章能力で、書きたいことが伝わるか不安でしたが……良かったです！ (2020年6月28日 8時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年6月21日 12時
