最愛シンメトリーII【U.Hidaka】 (ページ9)

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甘いクリスマスページ9

「おはよ！」
「おはよう」

当然のように先に来ていた飛貴。
冷えきった彼の手を握る。
……まあ、私の手も冷たいんだけど。

「その服可愛いね」
「謙ちゃんにもらった」
ちょっと早めのクリスマスプレゼント、と言う謙ちゃんを思い出し、自然と笑顔になる。
「流石安井くん。Aのことわかってる」
可愛い！ともう一度言うと、握った手に少しだけ力が込められた。

相変わらずわかりやすい反応。
……自惚れてるって言うなら、勝手にどうぞ。
″デート″って誘ってくるくらいだもん。そりゃあそういうことなんじゃない？
それも、わざわざクリスマスに。
…独り身の私を哀れに思っての言葉だったら、殴り倒すよ。

「そしたら橋本くんがね、……聞いてる？」
「ああ、ごめん。なんだっけ？」
いろいろと考えていて、飛貴の話を全く聞いていなかった。
飛貴の顔を見上げると、少しだけ眉を下げて、
「なんでもないよ」
微笑んだ。

これはやってしまった……。流石に怒ったよね。
飛貴はいつも、言いたいことを我慢するから。
「ごめんね」
「ううん、大丈夫。
……怒ってないよ」
その謎の間はなんですか。絶対怒ってるじゃん。
じっと顔を見つめていると、
「………つまんなかったよな、って反省中」
渋々口を開いた。

「ちがっ!!あの、考え事してて…！」
いやもう、焦りすぎて余計なこと言っちゃった。
益々不安にさせてんじゃん。
飛貴の顔が、さらに曇る。

「その……なんで、今日なのかなって」
こんなこと、聞いていいのかな？なんて考えても、もう取り消せない。
「……好きな子と、過ごしたかったから」
白い頬を真っ赤に染めて、微かな声でそう言った飛貴。
そんなド直球にくるなんて思ってないし。
胸が、ぎゅっと掴まれたように苦しい。

「ただの自己満足だよ。
ごめんね、付き合わせて」
悲しそうに微笑むと、
「でも、誘ったからには楽しんでもらえるように頑張るから！期待してて！」
そう言った。

今日くらいは、勇気出して素直にならなきゃな、なんて思ったり。
……できるといいんだけど。