最愛シンメトリーII【U.Hidaka】 (ページ8)

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「おはよー。……最後だ」
部屋に入れば、全員揃っていた。
珍しい…私が遅かっただけか。

壁にもたれかかって、テキストを読む飛貴を発見。
走ってそこに向かう。
「うっわ！びっくりした……」
勢い余って壁ドンしてしまった。恥ずかしい。

座る飛貴の膝に乗って、腕を無理やり前に回す。
背中を預けると、うっ、と苦しそうな声が聞こえたけど、知らないふり。
ついでに言えば、気持ち悪い物を見る目を私に向ける雄登となぁくんも、知らないふり。

「大丈夫？どっかで頭打った？」
たいしょーちゃんが笑いながら言った。
「寒いから、人肌が恋しいだけ」

こたつやら暖房やら、素敵な物はたくさんあるけど、
やっぱり人肌が一番だよね。
体だけじゃなくて、心も温まるから。

「浮所じゃなくてもよくない？」
ほら、ここ空いてるよ
そう言って、腕を広げるたいしょーちゃん。

「最近の飛貴の匂い、気に入ってるから」
新しく買ったらしい香水。
爽やかな香りの中に、甘さが隠れていて。
……色気を感じるよ。香りだけ。

「ふふん」
得意げな顔をする飛貴の手を軽く叩く。

………なんだかんだ言ってもさ、やっぱり私。
飛貴のこと、好きなんだよね。

本人には、絶対言わないけどさ。

「ねえ、A」
「ん？」
「その……25日、空いてる？」
私の手をいじいじしていたかと思えば、そんなことを言われた。
「空いてるけど」
「デート、しない？」

言ってから気がついたけど、25日ってクリスマスだ。
……どうせ部屋に一人だけど。
「いいよ」
「やった!!あ、プランはちゃんと考えておくから！」
鼻歌なんか歌って、スマホを触る飛貴。

この一年で、飛貴との距離が驚くほど縮まった。
元が離れすぎてたのかもしれないけど。
あの頃の私には、クリスマスを一緒に過ごすなんて想像もつかなかっただろうな…。

飛貴が素敵な人だってこともわかったし、
きっかけを作ってくれた人たちには、感謝しなきゃ。