最愛シンメトリーII【U.Hidaka】 (ページ6)

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けんちゃんページ6

なんで、言ってくれなかったんだろう。

「大っ嫌い!!」
「……ごめん…」
申し訳なさそうに言うその人。
彼は、何も悪くないのに。

「Love-tune退所」を、ネットで知った。
せめて、本人の口から聞きたかった。

怒ってるのも、悲しいのも、それに対してじゃないの。
ただ、こんなに仲よくしてもらってて、「少しは信頼してくれてるのかな」って、思ってたから。

発表の翌日、らじらーの放送前に、
謙ちゃんが家に来てくれた。

「なんとなく、気づいてただろ」という言葉。
ずっと前から、わかっていたけど。
信じたくなかった。

元々ファンだった私は、
謙ちゃんの努力を、ずっと見ていた。
「こんな人になりたい」と、
初めて、憧れを抱いた人だ。
アイドルとしてはもちろんだが、人間としても、
彼を心から尊敬している。

だからこそ、彼の決断を否定したくはない。
だけど、さ。
…言ってほしかったよ。

「謙ちゃんの馬鹿…」
「ごめん」
さっきからそれしか言わない。いや、私が言わせていないのか。

「なんで、言ってくれなかったの？」
泣いてはいけないのはわかってるけど、止まらない。
「謙ちゃんの考えを否定してるわけじゃないの。
言ってくれなかったことに怒ってるの！」
驚いた顔を、柔らかく崩して、
「不安にさせたくなかったから」
私を、そっと抱き寄せる謙ちゃん。

謙ちゃんのほうが、ずっと先輩だけど。
たまには、頼ってもいいんだよ？

「好き」
「うん」
「お話が上手なところも、努力家なところも、それを見せないところも、尊敬してる」
「ありがとう」
「いっぱい甘やかしてくれて、妹みたいに大切にしてくれるところが大好き」
「俺も好きだよ」
謙ちゃんの胸に顔を埋めて、そう言えば、
一つ一つ聞いてくれる。

「ねえ、謙ちゃん」
「ん？」
「泣いてもいいよ」
「えぇ…」
胸貸してあげる、と腕を広げると、
さっきまでの私のように、謙ちゃんは抱きついてきた。

「A、ありがとう」
「うん…」

一緒にいられる時間が、少し減るだけ。
進む道が、少し変わるだけ。
一生のお別れじゃない。

謙ちゃんたちにとっては、ここからがスタートだから。
今まで通り、応援するよ。

ずっとずっと、大好きです。

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姫島「お仕事、始まっちゃうよ」
安井「あと五分」
姫島「長いよ…(苦笑)」

＊昔から大好きな彼への気持ちを代弁してもらいました。
人として尊敬しています。私の憧れの人です。
これからもずっと好きです。