最愛シンメトリーII【U.Hidaka】 (ページ2)

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甘い甘いページ2

Side of Hidaka

「Aちゃん」
「何」
不機嫌な声が返ってきて、開けた口を噤んだ。
最近はそんなことなかったんだけどな。

広い楽屋に、何故か二人きり。
皆は、他グループの楽屋に遊びに行ってしまった。

「用があるなら早く」
「えっと、その…し、シュークリーム買ったから、一緒に食べない？」
本当は、甘えたかったんだけど…。
本音を隠して、そう言った。
シュークリーム買ったのは嘘じゃないよ？

「食べる」
今まで一度もこちらを見なかったAが、パソコンから顔を上げた。

「紅茶淹れるね！」
ちょっとお高めのティーバッグの紅茶は、お湯を注ぐといい香りがした。
マグカップと、シュークリームを乗せたお皿を持って、隣に座る。

パソコンを覗き込むと、
「どこ使おうか迷っててさ」
Aが言った。
画面には、この前撮影したJr.チャンネル用の動画。
最近、少しずつ編集の勉強をしているらしい。
「皆平等に使いたいんだよね」と、眉を下げて笑った。
その姿が、やっぱりリーダーだなって。

「お疲れ様」
ぽんぽんと頭を撫でると、飛貴ー、と抱きつかれた。
胸に埋めた頭を、ぐりぐりと押し付ける。
こんなに甘えられたの、初めてかも。
ドキドキしてるの、絶対聞こえてるだろうな…。

口元が緩むのを抑えきれなかったけど、幸いAには見えていない。
華奢な体に腕を回し、優しく包み込むように抱きしめた。
背中に回る彼女の腕に力がこもると、俺の鼓動も早くなる。

幸せな時間。
俺にとっては、シュークリームよりも甘い時間。

「腹減ったー！」
ドアが開いて、メンバーが続々と入ってくる。
HiHiの皆も入ってきた。
「最悪…」
「楽屋でイチャつくのが悪い」
近くにいた那須を睨む。

声が聞こえてきた瞬間、Aはシュークリームにかぶりついていた。
いいところだったのにな…残念。

「これ美味しい！飛貴ありがとう！」
幸せそうに笑うAが見れたから、よしとしよう。