最愛シンメトリーII【U.Hidaka】 (ページ1)

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約束がいっぱい！ページ1

「わー！ほんとにごめんなさい!!」
「飛貴の馬鹿！早くしなきゃ遅れちゃう！」

今日は、雄登に飛貴を譲ってもらった日。
そう、舞台を一緒に観に行く日。

約束の時間に遅刻した飛貴は、泣きそうな顔で私を見る。
「怒ってる…よね。後でご飯奢るから、許してください!!」
「怒ってないから、早く歩いて」
何度か一緒に遊びに行ったけど、飛貴はいつも約束の時間の5分前には着いていたから、
怒ってるというより、心配だった。
絶対、本人には言わないけど。

落ち込んだ様子で後ろをついてくる飛貴。
彼の手を繋ぐと、途端に笑顔になった。

・

「飛貴、ありがとう」
「ううん。喜んでくれてよかった」
飛貴のおかげで、いい席に座ることができた。

今日は、お昼ご飯を食べて帰ることになったけど。
帰りもずっと話を聞いてくれるし、送ってくれるし。
あんな態度とっても、やっぱり飛貴といると楽しい。
……素直じゃないのは、自覚してるよ。

目の前に、見慣れたマンション。
繋がれた手が、名残惜しそうに離れる。
「まだ約束がいっぱいあるからね！
紅葉見に行くし、遊びに行くし！」
「そうだね」
「だから…今日は、ばいばい。ゆっくり休んでね」
私にとって久しぶりの休みだった今日。
そんなことも考えてくれる飛貴は、やっぱりすごいなって。
「ありがとう。ばいばい」
私が建物内に入るまで、手を振っていた。

ちょっと寂しいけど、次もあるし。
「楽しみにしているのは、飛貴だけじゃないんだよ」
なんて、飛貴にはまだ言えない。