九 ページ9
「送ってく。」
すっかり暗くなってしまった、夜道を、正門さんと歩く。
「ほんまはね、リチャード君って言う人もいつも一緒なんやけど。今日はバイトやったから。」
「り、りちゃーどくん？外国人さん？」
「ハーフやねん。でも、英語は喋れんけど笑。駅前のマックでバイトしとるよ笑」
なんだ、その濃いキャラ。
「まっさんは、その、なんか特殊能力？みたいなのあるんですか？」
「特殊能力？？？笑笑」
私のお馬鹿な質問に大爆笑しているまっさんは、笑うと途端に幼くなって。
やっぱり、女子にモテそうだなぁ、こんな人。なんて、思ったり。
「あーー、Aちゃんやっぱり面白すぎるな。健三さんっぽい。」
「おじいちゃんに似てますか？私。」
「おん。健三さんもちょっと抜けた人やった。」
そうなんだ。
やっぱり、私、おじいちゃんの性格すら知らない。
「まっさん。私ね、ここに来て良かったのかな。」
「どうして？」
「私、おじいちゃんの事なんて、みんなから聞くまでこれっぽちも知らなかった。
おじいちゃんが、どういう気持ちであの神社を守ってて。
その、見守り人？の仕事をしてて。
私、全然知らなくて。
だから、私にここに住む権利なんて無いんじゃないかな。」
気がついたら、神社の鳥居がすぐそこで。
「ごめんなさい。暗い話して。送ってもらってありがとう、じゃあ。」
「Aちゃん。」
まっさんに呼ばれて振り返る。
「俺らにはさ、Aちゃんをここに縛る権利も、ここに住ませる事も、見守り人になってくれなんて言うことなんかできやん。
怖い思いさせたんなら、ほんまにごめん。
でもな、健三さん、この場所が好きやって言うてたから。
でも、あの人家族の話なんて全然せえへんし。
だから、孫のAちゃんが来てくれて。
俺たち、本当に嬉しかったんよ。」
街灯に照らされた、まっさんの顔があまりにも寂しそうだったから。
何も言い返せなくて。
「ご飯、ありがとうございました。」
石段を駆け上がる。
おじいちゃんはきっと慕われてたんだな。
なら、なおさら私はここにいちゃダメだ。
ここに来たのだって、ただの甘えなんだから。
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ゆい(プロフ) - めっちゃおもしろいです！続きが気になります！最後まで読んでみたいです！ (2020年10月15日 20時) (
レス) id: aa225a9070 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 楽しく見させて頂いてます！無理ない程度に更新頑張って下さい！応援してます！ (2020年7月20日 4時) (レス) id: 1ca1725196 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - この作品の雰囲気大好きです。更新楽しみにしてます！ (2020年6月13日 2時) (レス) id: f8b6f2c6d6 (このIDを非表示/違反報告)
イロ(プロフ) - 更新ありがとうございます！こちらのお話大好きです、主様のペースでこれからも更新楽しみにお待ちしております^_^ (2020年4月21日 1時) (レス) id: 05f88c51dd (このIDを非表示/違反報告)
いちごぷりん - このお話すごく面白いです！！続きが気になります(*≧∀≦*)更新待ってます！！ (2020年4月14日 7時) (レス) id: 39651266d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雫 | 作成日時：2020年2月4日 23時
