聞こえますか、この声が。 (ページ26)

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ep.26 ページ26

末澤side

あの後、大晴に直った義足を付けてもらって、その後もみんなで丈の病室で少しの間ワイワイやっとったけど、俺はそこで一人だけいない事に気付いた

「なあ、正門。晶哉は？」

「あー、俺らがアジト出た時、まだ寝てたんすよ。起こすのも悪いし、置いてきました。」

珍しい。晶哉は、普段なら俺ら全員分の朝ごはんを作ってくれるくらい、できた奴

「体調でも悪いんかな？俺、ちょっと見てくるわ。」

「あ、俺行きますよ。」

「大丈夫。お前らここにおりや。ここからやったら、近いから。せや。丈にも会わせてやりたいし。」

教会の裏口から出て、アジトに入る

二階建てのボロい一軒家

晶哉の部屋は一番最後に来たから、二階の一番奥。

流石に起きてるやろと思ってたけど、物音はせん。

「晶哉？入るで？」

そっとドアを開けると、晶哉はまだ寝てた

昨日、ちょっと夜遅かったもんなぁ。最近、戦闘も頻繁にしてたし、疲れが溜まってたのかもな

「しっかし、お前は寝相が良いな。」

きっちり、気をつけ状態。

小島と大晴とは大違いやな

そこで気づく

晶哉の肩口にある真新しい傷

火傷？

「こんなん、いつ...。」

ナイフの切り傷や、痣はまだわかる。

ゴロツキどもの中ではそういう武器を持っとるやつが多いから

でも、火傷は。

起きたら、聞いてみないと。

そう思いながら、

部屋を出ようと思った時

「....嫌や...」

聞いた事のない震えた声

「晶哉.....？」

うなされとるんか？

そういえば、俺はこいつの過去をそんなに知らん。

でも、顔をしかめて、嫌や、嫌やと繰り返す晶哉なんて今まで見たことがなくて

そっと晶哉の手を握る。

「...ごめんなさい....」

何に謝ってるのか。

俺は、こいつの力になってやれるんやろうか。

わからへん

でも

晶哉が次に呟いた一言は、俺の思考を止めるには十分やった

「......もう、殺してや....裏切り者の俺を......」