聞こえますか、この声が。 (ページ24)

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ep.24 ページ24

藤原side

「えっと、うん。目覚めて良かったわー。肝が冷えた。」

まだ、言葉が出ない自分を尻目に、末澤はつらつらと言葉を並べていく

「えっとー、2年ぶりやんな。せやな、うん。この街もだいぶ変わったやろ？」

「....お前が仕切っとんのか。」

久しぶり。とか

そんな言葉が出てこなかった自分を呪う

末澤はそんな俺に微笑み返すと

「いや、俺ちゃうよ。この足で仕切れるわけないやん～。奇襲かけられたら終わりやわー。」

軽い調子でそう続ける末澤に、心の奥底に秘めていた自分の汚い感情が溢れてきて

「そんな足にしたのは俺や。」

違う

本当は

「恨んでるやろ、俺のこと。顔なんか見たくもなかったやろ。」

違う

こんなことが言いたいわけじゃない

でも

『丈の情報なら心配はいらんやろ』

まとくんはそう言ってくれた

『丈くん。後でね。気をつけてな。』

淳弥の笑顔も

「全部、全部俺のせい。」

「違う！！！！！！！」

静まり返った部屋に末澤の高い声が響いて。

驚きで思わず顔を上げる

末澤は、声も出さずに泣いていた。

「お前が、自分を責める気持ちはわかる。でも、俺やって....なんで、罠やって気づけへんかったんやろって思ってる。

なんで、お前ばっかりに全部背負わせて、力になれんかったんやろって。」

末澤の涙が床に染みを作ってく

「淳弥、言うてた。

誰のせいでも無いって

俺らは、こういう運命やったんやって...後のことは、任せるって...」

それだけ言うと、今江の大きな目からも涙が溢れ出た。

「ごめん....」

謝罪の言葉は驚くほど、あっさりと口から出てきて。

「もう、謝らんでいい。」

「リチャ....」

「ごめん、すえの義足、大晴のところに取りに行ってたから、遅れた。」

久しぶりに見る、その表情は。

今までに見たことがないくらい、優しかった。

「ようやく、揃ったな。」

古謝が満足げに呟く。

「待って。」

その声とともに部屋に入ってきたのは、大吾たちやった。

「何をおっ始める気なんかは知らんけど。俺らやって役には立てるよ。」