聞こえますか、この声が。 (ページ17)

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ep.17 ページ17

大橋side

目の前の光景は、自分が絶対に想定していなかったもので

なんで

どうして

嫌だ

そんな言葉が頭の中をぐるぐる回って止まらない

目の前が霞んできて、チカチカする

嫌や、丈くん

こんなん、嫌やって

「はっすん！はっすん！！」

俺を現実に引き戻したんは、大ちゃんの焦った声やった。

「大丈夫やから、はっすん。まだ、息はある。脈もちゃんとある。大丈夫。」

大ちゃんの言葉に体の力がだらっと抜けていく。

「誰にやられたかはわからん。でも、この場所が誰かにバレている以上、もうここにはおれん。どうしよう。」

大ちゃんの声にも焦りが混じってる。

そうや、しっかりしなきゃ。

俺、この中ではお兄ちゃんの方なんやから。

意識のない丈くんを抱き上げる。

血の匂いがさらに強くなって、また泣きそうになったけど、かすかに聞こえる丈くんの息の音が、心を落ち着かせてくれた。

「大ちゃん、逃げよう。スラム街に戻ろう。」

大ちゃんは俺の顔を見て力強く頷く。

「正門に連絡してくる。あと、外の4人にも言ってくる。」

そう言って、足早に外へ出て行った、大ちゃんを追って外に出ようとした時

丈くんの目がかすかに開いた

「っ！！丈くん！わかる！？」

「...おおはし..ベッドの下...パソコン..」

「わかった、持っていく」

そう答えると、丈くんはまた目を閉じてしまった。

ベッドの下から、パソコンを取り出す。

外に出て、それを流星に渡す。

みっちー達3人は丈くんの様子を見ると真っ青な顔で泣きそうになったけど。

「大丈夫や、絶対助かる。スラム街に戻ろう、あそこにええ医者がおるから。」

そうやって、笑いかけたら、一気に安心した3人を見て

そうか。

きっと、昔は、みんなそうしてくれてたんや。

怖い時も

辛い時も

年下の俺には見せないようにしてくれてたんやな。

やって、守りたいから。

「丈くん、少しやから頑張ってな。」

「行くで、みんな。」

大ちゃんの声と共に来た道をまた、歩き出す。

まだ膝はかすかに震えてたけど。

「丈くん、俺はもう誰も失いたくない。」

俺らは、どこへ向かうんかな。

でも、みんな一緒なら

怖くなんかない。