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■13:INCIDENT[異変] ページ13

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 翌日。清々しく空は晴れ上がり、その水色を一面に写し出して見せた。昨日の大雨が嘘のようだ。朝食を頂き、登校の準備をする。幸い時間割は昨日より五教科が少ないため家に教科書を取りに行く必要はなさそうだ。副教科は学校に置いてある。

 木で出来た出入口を一人で「すげぇ」と呟きながら触っていると、空条が疑問を覚えたような表情で家の方を見つめる。

「どうしたよ」
「…いや、いつもならアマが来るはずなんだが」
「アマってホリィさんが? お前らは新婚夫婦か」

 様子がおかしいと感じたのか、空条は中へと戻っていった。俺も特に意味もなくその後ろに続く。するとアヴドゥルが切羽詰まった表情でホリィさんを抱えていた。ホリィさんは額に汗を滲ませている。アヴドゥルが脱がせたのだろう、少し露出した背中には艶やかな茨があった。


「……ホ…リィ」
「ジョースターさん…。JOJO」
「………!!」

 見覚えのある、光景だった。俺のお母さんもああして無理をして我慢をして、倒れた。末期癌だったから抗がん剤もどうしようもなく、ただただ日に日に弱っていくお母さんを見つめていた。お母さんは最後まで──偽りの俺を見ていたのだろうか。

 そんな昔の話に上の空になっていると、ジョースターが空条の学ランの襟を掴んで襖へぶつける。その衝撃は空気を通して俺にも伝わり、そこで俺は我に返った。

「わ…わしのも…最も恐れていたことが……おこりよった…つ…ついにむ…娘に『スタンド』が…。『抵抗力』がないんじゃあないかと思っておった。DIOの魂からの呪縛にさからえる力がないんじゃあないかと思っておった……」

 『DIO』については昨日聞いた。そのDIOとか言うやつが蘇ったお陰で空条やジョースターにスタンド能力が目覚めたらしい。そしてそのジョースターの血統を持つホリィも…例外なく。ただ、強い精神力を要するスタンド能力はホリィさんに向いていなかった。…ということか。

 空条は憤りがこもったジョースターの左手を掴むと、「言え!『対策を!』」そう言った。その瞳には少なからずホリィさんへの思いが滲んでいる。

「うう…く…ううう、……ひとつ。DIOを見つけ出すことだ! DIOを殺してこの呪縛を解くのだ! それしかない!!」

 飛んだとばっちりだな、DIO。なんて思ってしまうのは俺がクズな証拠。今日も調子最高だ。誰かこんな俺を殴ってくれればいいのに。

■14:TAROT[タロット]→←■12:STAND[幽波紋]



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カレーライス(プロフ) - 鼎さん» ありがとうございます! そう言ってくださると、モチベーションが上がって書くのが楽しくなります! これからもよろしくお願いします! (2019年11月26日 21時) (レス) id: 62819c8559 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すっごい面白いです…一気読みしてしまいました…!更新はご自分のペースで無理をなさらない程度に頑張ってください...!ずっと応援してます! (2019年11月25日 7時) (レス) id: 7b1eca840c (このIDを非表示/違反報告)
カレーライス(プロフ) - ASTEさん» ありがとうございます! 頑張ります! (2019年8月16日 12時) (レス) id: 62819c8559 (このIDを非表示/違反報告)
ASTE(プロフ) - めっちゃ好きです!!!更新頑張ってください!!! (2019年8月15日 19時) (レス) id: 2389d4e467 (このIDを非表示/違反報告)
カレーライス(プロフ) - ツティスさん» 感想を言って頂けて嬉しいです。これからも、龍兎たちをどうぞよろしくお願い致します! (2019年8月10日 16時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カレーライス | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年8月9日 10時

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