青ともう一度 １ ページ48
夕食を食べ終わり明日の準備も済ませた私は眠りについた。
＊＊＊＊＊
目を覚ますと見覚えのある景色の中に立っていた。
ただただ広いだけの、何も無い空間。
大先生が作った夢の中。
あの時と違うのは、いやらしい水音も身体が火照るような感覚も思考がぼんやりしていることも無いことかな。
「大先生？」
この空間の主の名を呼ぶ。
「やっほー鬱だよー」
気の抜ける挨拶とともに彼は現れた。
「今日帰り遅かったんやってな。皆心配しとったやろ？」
「え、ああ、うん。迷惑掛けちゃったみたいで…」
確かにその通りだったけど、わざわざ大先生はこんな世間話をするために夢に入ったはずはないだろう。
そういえば、帰った時に彼の姿を見かけなかった気がする。
今の言い方も伝聞調だった。
「大先生、今どこにいるの？」
「ここにおるやろ。」
ひたすらに暗い、仮面のような笑み。
またか。
ここ最近一緒に住んでいてわかったことがある。
普段は表情豊かな彼だが、後ろめたいことがある時や気分が落ち込んでいる時は表情が消えるのだ。
いや、消えると言うより貼り付けたような笑顔だけになると言うべきか。
「何があったの？」
「ん？なんもあらへんよ。
ちょっとAちゃんとお話したかっただけやから。」
表情が変わらない。
…そんなに私は信用無いのか。
「大先生。私さ、子供だしただの人間だから大先生の苦しさがわからないの。」
「うん？うん、まぁそうやろうな。」
「だからさ、」
そこで一度切り、溜める。
薄っぺらな言葉じゃ届かない。
ただ言うだけじゃ物足りない。
私には何もわからないけど、わからないままで放置したくないから。
「辛かったら『辛い』って言って？言ってくれないとわかんないよ。」
「っ…ホントに？」
彼の表情がぐしゃりと歪む。
あぁ、やっとその仮面を壊せたね。
「ホントに辛いこと『辛い』って言ってええの？」
「もちろん。私には聞くくらいしかできないから、せめて聞かせて？」
ポロポロと心のダムが決壊したように彼の瞳の深い青から涙が零れ落ちる。
「昨日の子がなかなか離してくれんくて、夢の中に閉じ込められそうになって、暴力ふるわれるよりも怖かってん…！」
抱きついて頭を私の肩に埋めたので、そのまま子供をあやすみたいにポンポンと大先生の背中を叩きながら頭を撫でた。
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ウラシル@ひぃ(プロフ) - パピコさん» シンプルな告白嬉しいです。ありがとうございます！はい、頑張りますね。 (2019年5月26日 21時) (
レス) id: a76b54135a (このIDを非表示/違反報告)
ウラシル@ひぃ(プロフ) - 夜？さん» 初コメありがとうございます。大好きと言って頂けて嬉しいです。ご期待に添えられるよう励んでいこうと思います。 (2019年5月26日 21時) (レス) id: a76b54135a (このIDを非表示/違反報告)
パピコ(プロフ) - 初コメかはわからないですけど言いたいことがあります。….......好きです、頑張ってください (2019年5月26日 19時) (レス) id: 3cb2acd302 (このIDを非表示/違反報告)
夜？(プロフ) - 初コメ失礼します…私このお話大好きなんです！続編がいっぱいあっても嬉しいです!!なので主さんのペースでだんだんこのお話を進めて頂ければと思います！楽しみにしてますね！ (2019年5月26日 13時) (レス) id: 2a93bfb216 (このIDを非表示/違反報告)
ウラシル@ひぃ(プロフ) - 千歳さん» ありがとうございます。ショッピさんは上手く書けているか不安だったのでそう言って頂けて安心しました。これからも楽しんでいただけるよう頑張ります。 (2019年5月4日 20時) (レス) id: 7875aff6bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ウラシル@ひぃ | 作成日時：2019年3月9日 22時
