(325)わかれて、会って ページ47
聖羅「先戻ってまだこの辺にいるからっつっといて」
円堂「えっ、戻るんじゃなかったのか?帰り方とかわかるのかよ?」
聖羅「いらね。蓮にナビしてもらうし」
円堂「そっ、か……」
本当は、オレ達の前からいなくなっちゃうんじゃないか、とか。
二度と会えなくなるんじゃないか、とか。
降り積もりすぎて溢れた感情は止まらなくて……。
円堂「あ……、あのさ!」
背を向けて歩き出す空翼の手首を取って呼び止めた。
踏み込んでもいいのか。介入しすぎて逆に嫌われたりしないのか。
喉が、潰れるくらいに酷く渇いていた。
円堂「さっきの……、電話、……って誰、なんだ?」
やっとの思いで出たのが、それだった。
特に目立った反応を示す訳でもなく、かと言って示さない訳もなく、空翼は視線だけを逸らして、考える仕草を一瞬だけしてみせた。
そしてすっと細められた目を横にこちらを見て、薄く口が開かれる。
聖羅「……絶対に、裏切れない人間」
そう静かに訴える彼女は、それを唯一無二な存在である事を伝えていた。
わずかに緩ませてしまった手が離れ、お構いなしに空翼は人の賑わう大通りを、人混みへと消えていった。
……頭はやけに冷静で、今から自分だけ帰るメールを打った。
送信ボタンを押そうと触れた手前で指が止まり、いなくなった空翼が歩いていった方向に目をやる。
円堂「…………」
……ダメだ、やっぱり気になる。
オレは携帯電話を閉じて、この方角を走った。
別れてまだ数分も経ってないから、すぐその辺にいるはずだ。
雑踏する人混みから彼女を見つけるくらい、簡単な事だ。
あの、白銀の髪の女性……、あれ?いやいや、あいつは女の子だろ?確かに大人びてるけどさ。
……何考えてるんだか。そう呆れつつ見渡していると、とある古風な店の外壁に背を預ける空翼の姿があった。
蓮と何かを話しているようだった。さっきの和菓子の袋を手にしてるから、間違いない。
円堂「くう────」
……呼ぼうとして口を開いたその時。
「セイラー!」
円堂が次に見たのは、彼女を下の名前で呼びながら手を振って駆け寄る青年だった。
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雷雨(プロフ) - マミーさん» おはようございます〜。良いですよー (2021年1月23日 7時) (レス) id: b56424d09c (このIDを非表示/違反報告)
マミー(プロフ) - 雷雨さん» 名前変わりました・・・ボートに書いて大丈夫ですか?? (2021年1月23日 7時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 雷雨さん» ありがとうございます……… (2021年1月8日 16時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
雷雨(プロフ) - ハナさん» あ、どうぞどうぞ (2021年1月8日 16時) (レス) id: b56424d09c (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 雷雨さん» ここではなんですので、ボードに書いていいですか……? (2021年1月8日 15時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
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