(299)時折見せる ページ21
聖羅「いっ……ッ!」
円堂「えっ……?」
髪に触れた途端、空翼の方が強張って横顔がしかめられた。
チトセ「ショウ?」
聖羅「…………。なに」
空翼がオレの手首を上から握って引き剥がす。
あいつ……肌に感覚無いって言ってたよな?痛くないどころか気付かないはずなのに、さっきのは痛かった時のそれだ。
……手が、痛い。空翼は加減がわからないから、どうしてもさっきの手の力が強くて、ヒリヒリしてる。
心のどこかでモヤモヤしながら、オレはスノボの続きに励んだ。
*
円堂「あ〜いってててて……。風になるのって大変だなー」
失敗続きでうまく滑れなかった円堂が肩をさすりながら、みんなと一緒に部室へと廊下をねり歩いていた。
塔子「しっかりしなよ。あたしはだんだんコツがわかってきたよ」
吹雪「うん!塔子さん、筋がいいよ」
鬼道「問題は全身のバランスの取り方だな」
土門「あぁ。スピードに乗る感覚さえつかめば、一気に世界が変わると思うぜ?」
塔子「そうそう!その感覚わかる!」
聖羅「…………」
最後尾の聖羅が窓をふと見上げて……、立ち止まる。
外はもう薄暗くて、白い月がぽっかりと空に浮かんでいた。
鬼道「……?聖羅、どうかしたのか?」
聖羅「…………」
鬼道「……せ──」
聖羅「忘れ物」
肩に触れようとする手を避けるように、聖羅は回れ右をして元来た道を走った。
鬼道「あ。あぁ……」
チトセ「なんだ? ショウ、何かあったのか?」
鬼道「忘れ物、だそうだ」
円堂「ふ〜ん……」
忘れ物、かぁ。空翼もそんなことあるんだなー。
……空翼は、夜になると姿を消しにどこかへ行ってしまう。
家に泊めた時も、マジン・ザ・ハンドの特訓をしてた日の夜も。
見失って探したら、空翼に似た『何か』と遭ったり。
ある時は空翼本人なのに、牙を剥き出しにした獣のような……『まるで別人のような瞳』で睨みつけて嫌悪する表情に出くわしたりとか。
……なんだか、嫌な予感がする。
今回だって空翼がいなくなってから、似たようなことが起こるかもしれない。
根拠はない。けど、この胸騒ぎは確証でしかない。
何かあってからでは遅いんだ。
風丸「円堂?どうした、みんな先に行っちゃうぞ?」
円堂「……ごめん、やっぱ、空翼の事心配だからオレも行ってくる!」
風丸「えっ、おい……!」
27人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雷雨(プロフ) - マミーさん» おはようございます〜。良いですよー (2021年1月23日 7時) (レス) id: b56424d09c (このIDを非表示/違反報告)
マミー(プロフ) - 雷雨さん» 名前変わりました・・・ボートに書いて大丈夫ですか?? (2021年1月23日 7時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 雷雨さん» ありがとうございます……… (2021年1月8日 16時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
雷雨(プロフ) - ハナさん» あ、どうぞどうぞ (2021年1月8日 16時) (レス) id: b56424d09c (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 雷雨さん» ここではなんですので、ボードに書いていいですか……? (2021年1月8日 15時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ