(280)心配した ページ2
聖羅は、すっかり気を赦してしまった羆に背伸びして、耳元に口を寄せる。
『……ココを通るだけだ。アンタに危害は加えない。だから、戻って』
『声』を聴いた羆は従うように身をのっそりと起こし、奥の木々へと身を眩ませた。
*
??「もう大丈夫ですよ」
少年はボールを胸に抱えてキャラバンに戻ってきた。
その後ろに空翼の姿はなく、オレは顔から血の気が引くのを感じた。
円堂「なあ、空翼は?!」
??「くうが、さん?」
誰、と言わんばかりに少年は首をかしげる。まさか、一緒じゃなかったのか……!?
円堂「お、オレ探して……!」
慌てて席を立ち上がると、キャラバンの入り口がまた開いた。
外から何事もなかったかのように黒ジャージの雪を払いながら入ってきたのは…………。
リク「リーダー!?一体何やってたんすか、外で?」
聖羅「……外でキャラバン襲ってた羆になんかが飛んできて、当たりそうだったから蹴り返して、ケガしてたから治して自然に還した。
仮に飛んできたものがぶつかってブッ倒れてんのもジャマだし、転がってんのも…………」
円堂「空翼ああああっ!!」
円堂が聖羅に駆け寄って抱きついてくる。
勢い余って尻餅をついた。
円堂「危ないことするなって言っただろ?!心配したじゃんか!!」
聖羅「…………」
聖羅はちょっと驚いた顔をした後、円堂の前髪を引っ張って顔を向けさせた。
……と思ったら、数秒遅れで円堂の顔がトマトみたいに赤くなって飛び退いた。
大方、不意打ちで抱き寄せた昨日のことでも思い出したのだろう。
円堂「ご、ごめん!……え?あ、違うな、謝るんじゃなくて、そのぉ……」
聖羅「…………」
別の言葉を選ぼうと目が泳ぎっぱなしの円堂を無視して、元の席へと戻る。
完全に動揺の行き場を失った円堂は、結局締まりのないまますごすごと席に戻った。
円堂「……風丸。空翼にはオレが言っとくから、ちょっと交代してくれるかな、席」
風丸「……?あぁ、いいぜ」
円堂「サンキュ」
円堂と風丸が入れ替わり、円堂が真ん中に座る形になった。
風丸「(……言うって、何を言うんだろ?)」
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雷雨(プロフ) - マミーさん» おはようございます〜。良いですよー (2021年1月23日 7時) (レス) id: b56424d09c (このIDを非表示/違反報告)
マミー(プロフ) - 雷雨さん» 名前変わりました・・・ボートに書いて大丈夫ですか?? (2021年1月23日 7時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 雷雨さん» ありがとうございます……… (2021年1月8日 16時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
雷雨(プロフ) - ハナさん» あ、どうぞどうぞ (2021年1月8日 16時) (レス) id: b56424d09c (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 雷雨さん» ここではなんですので、ボードに書いていいですか……? (2021年1月8日 15時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
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