星が降る夜に。［短編集］

◇ ページ9

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……うん、俺、本当はわかっているよ。

もう君がいないこと。


こういうの、なんて言うんだっけ。
君だったら、翼の頭でっかちとか、もしかしてボケた？なんて言って笑うのかもしれないね。

俺だってさ、こんなつもりじゃ無かったんだよ。
でも君が、あんまり急に居なくなるから。
何も言わずに、急に居なくなるから。

もっとさ、ちゃんと言ってよ。
君のお得意のお話でさ、俺がつい忘れてしまわないくらい、俺を納得させてみろよ。
俺はまだ、認めてないよ。

ここじゃなくて、明日は遠い所にでも行こう。
あの頃みたいに、皆でわくわくすることをしようよ。


君は居なくなっても俺の中で変わらず息をしているし、春が過ぎても君を想うと苦しくなる。桜の花弁が散っていく姿を、つい君に重ねてしまう。

君のことが好きだから。


漸く言えた。
俺、何年間溜め込んでいたんだろうね。でも、俺は言ったよ。
だから、君も言いなよ。それが公平ってもんでしょ。
だんまりなんてあんまりだ。

口を開いて、声に出して……君の声を聞かせて。

翼の初恋は叶わないよって、そう言って。
私はもういないって、そう言ってよ。

そうしてくれないと、俺一生忘れられない。君のことを、諦められない。


ごめん、こんなこと言って。
俺に笑ってくれる君がもういないこと、まだ信じられないんだ。
また明日になったら、君と他愛のないことを話せる気がしてならないんだ。


……そろそろ夕暮れだね、アーヤ。

君だったら、この景色をどう言い表すのかな。
また来るから、その時教えてよね。


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