Distiny【Mizuki & Ryo】

Page 49 * mizuki ページ49

.




あくまでも練習だから！と念押しをして、




「……世界で一番、Aのことが好きだよ」




___ずっと、俺の隣にいて？俺のことだけ見てよ。


蓋をしようとした想いを告げた。




『っ、もう！……練習だって分かってても、恥ずかしいんだけど！』


「成功しそう？」


『……うん、大成功だね』




ちょっとお手洗い行ってくる！と俺の元を走り去っていってしまった。


嘘偽りのない言葉を、ちょっとくらい、本気にしてくれればいいのに。


でも、夢の時間は長くは続かない。


今日で終わりにする、そう決めていた。




*




___「こんなに早く行く必要ないんじゃねーの？」


「いや、あっちでバイトとか探さないといけないし」




はしもっちゃんの後ろに隠れて、一言も喋らずに、俯くA。


それに気付いたはしもっちゃんが、Aの背中を押す。




「ほら、A、」


『……瑞稀、元気でね』


「永遠の別れじゃないんだからさぁ、ね、瑞稀？」


「……うん、そうだよ、」




じゃあ、行ってくるね、と新幹線に乗り込む。


昨日、Aと決めた約束。




___「俺、あっちに行ったらAに連絡もしないし、会いに行かないから。Aも会いにこないで」


『な、んで？』


「決めたから、でも最後に」




Aの目を手で覆って、あの日と同じように唇を重ねた。




「ごめん、」




.

移行のお知らせ→←Page 48 * mizuki

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す