その23 ページ49
もうどれ位この地をさ迷っていただろう。照りつける太陽が徐々に体力を奪っていく。遂に私は、歩むことを止めてしまった。
せめて身を隠そうと、瓦礫の陰に腰を下ろす。
(...調子に乗って挑発なんかしたけど、やっぱ一人はツラい...神威さんはよく乗り込めるよなァ...)
改めて戦闘民族の凄さがわかり、あの憎たらしい笑顔が頭に過る。
それと同時に、今までよく私を殺さないで居たななんて思ったが、直ぐにあることに気がついて思わず自嘲の笑みを浮かべた。
(...違うな。きっと彼は、わざわざ弱い相手に構うのが面倒だっただけだ)
高杉さんだってそう。
私に任務を任せたくなかったのは、私が私の弱さに気づいていなかったからだ。
だから彼はーー
ーー「まだ見つからないのか!」
(ヤバッ...!)
今までよりも直ぐ側で聞こえた声に、身を縮め、声を押し殺した。
「探せ!あの怪我だ!そう遠くには行ってないはずだ!」
その言葉と同時に大将首の男が私のすぐ目の前の瓦礫を拳で叩いた。
その衝撃で私の体にガラガラと瓦礫が崩れ落ちてくる。
「...っ!!」
(...声を出したら終わりだ...堪えろ...!私は何としてもあの人に届けなくちゃダメなんだ...!)
逃れる途中、私は奴等のアジトに潜入することに成功した。そこで私は、燃料の資源の一部である石を手に入れ、脱出しようとした時だった。
盗み出したせいで、非常用のベルが作動し、騒ぎを聞きつけた敵がどんどん集まってきた。
何とかそれも逃れる事が出来たが、その際に肩と脇腹を撃たれてしまったのだ。
止血を試みたが、そう簡単には止まってくれない。
バレるのも時間の問題だ。
(早く此処を離れなくてはーー)
血を大量に失ったせいで、目の前が霞む。
(クソ...)
思うように進めずにもがき続けるが、もう私の身体は殆ど動かない。
ーー「オイ見ろ!血痕があるぞ!!」
死期が迫っているというのに、思い出すのは後悔ばかり。結局、私は何も果たす事が出来なかった。
あの人を守る事も、役に立つ事も。
ああ、私何で今頃気づいたんだろうなあ。
「...きっともう、会えないんだろうな」
止めどなく流れる涙が、渇いた地に落ちる。
ーー「居たぞ!捕らえろ!!!」
だんだんと近づいてくる足音。
「よくも俺達をコケにしてくれたなァ?」
奴等に両腕を抱えられたが、私には既に抗う力も残されていない。
「俺は慈悲深いからなァ...一瞬で楽にしてやるよ」
私の最期に見た物は、迫りくる刃の輝きだった。
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ソラ - りおさん» コメントありがとうございます!思い付きで更新しているため、不定期になってしまい、読書の方には迷惑をかけております汗なるべく更新していきたいと思っているので、よろしくお願いします!♪ (2020年2月12日 18時) (レス) id: c2cc8b33f9 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 高杉さんかっこいい…… ここからの展開が楽しみすぎます、!!! そして主様更新頑張ってくださいッ (2020年2月12日 16時) (レス) id: f7e6660386 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - きょこさん» コメントありがとうございます!また更新が遅れて申し訳ないです...。きままな更新で行きたいと思ってますので、ちょくちょく覗きに来てくださると嬉しいです♪ (2020年2月12日 0時) (レス) id: 64cc8cd8ee (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 沖田レイアさん» ありがとうございます〜!そう言って貰えると大変嬉しゅうございます♪亀更新で申し訳ないですが、最後までお付き合いくださいませ。。 (2020年2月12日 0時) (レス) id: 64cc8cd8ee (このIDを非表示/違反報告)
きょこ - 続き楽しみにしてました!これからの展開が楽しみー!はぁ…無理やり腕掴まれたい… (2020年1月28日 23時) (レス) id: 6828360e61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソラ | 作成日時:2019年10月30日 14時