その11 ページ37
「阿伏兎、客だよ」
「あ?ーーいっ!?」
阿伏兎、そう呼ばれた男は神威さんの言葉に反応する。そして私の顔を見た途端、ぎょっとして、「何だそのツラは?まさか団長にやられたのか!?」と言った。
「...聞かないで」
「俺じゃない、やったのはシンスケさ」
そう言っていつもの様に笑う神威さんの横腹に、手刀を入れる。しかし軽々と避けられたので少しイラついた。
「ーーあ、そうそう。何かこの子に暖かい飲み物でも淹れてやってくれよ。ついでに俺の分も」
と、思い出した様に神威さんが言う。
すると阿伏兎さんはへーへー、と気だるげに返事をして立ち上がった。
「...何か、っつっても茶しかねーけどよ。いいか?」
「...酒がいい」
阿伏兎さんの問いに即答すると、横から呆れた様に神威さんが口を挟む。
「何言ってるんだよ。散々飲んでおいて、まだ飲み足りないってのかい?」
「足りない。酒がいい。阿伏兎さん、私お酒がいい!」
「あー、あるにはあるが...」
様子を伺う様に神威さんに視線を寄越す阿伏兎さん。
「阿伏兎、俺の言ってる意味わかるだろ?」
「えーー!阿伏兎さん!酒がいい!絶対酒!酒しか飲まない!」
ギャーギャーと喚く私に神威さんは「やれやれ」とため息をつくと、私の首根っこを掴んだ。
「...言うこと聞かないと殺しちゃうぞ」
まるで脅すような口振りに思わず舌打ちをして、「...わかったわよ」渋々了承すると、神威さんはパッと手を離した。
「君ってやっぱり可愛げのない女だね」
「別に貴方から可愛いって思われなくてもいいし」
「見た目を綺麗にしたところで、中身が伴わないと無意味だったかァ」
「その言葉、そっくりそのまま返させて頂きます」
再び言い争いを始めようとしたところで、阿伏兎さんが「その辺にしとけ」と、止めにはいる。
「...あー、茶入れてくるから大人しくしとけよ?間違っても喧嘩なんてするんじゃねーぞ。物壊されちゃ堪まったモンじゃねェからな。わかったな?」
「「はーい」」
声を揃えて返事をし、出ていく阿伏兎さんを快く見送った。それと同時に殴り合いがはじまり、戻ってきた阿伏兎さんから怒られたのはまた別のお話。
239人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソラ - りおさん» コメントありがとうございます!思い付きで更新しているため、不定期になってしまい、読書の方には迷惑をかけております汗なるべく更新していきたいと思っているので、よろしくお願いします!♪ (2020年2月12日 18時) (レス) id: c2cc8b33f9 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 高杉さんかっこいい…… ここからの展開が楽しみすぎます、!!! そして主様更新頑張ってくださいッ (2020年2月12日 16時) (レス) id: f7e6660386 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - きょこさん» コメントありがとうございます!また更新が遅れて申し訳ないです...。きままな更新で行きたいと思ってますので、ちょくちょく覗きに来てくださると嬉しいです♪ (2020年2月12日 0時) (レス) id: 64cc8cd8ee (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 沖田レイアさん» ありがとうございます〜!そう言って貰えると大変嬉しゅうございます♪亀更新で申し訳ないですが、最後までお付き合いくださいませ。。 (2020年2月12日 0時) (レス) id: 64cc8cd8ee (このIDを非表示/違反報告)
きょこ - 続き楽しみにしてました!これからの展開が楽しみー!はぁ…無理やり腕掴まれたい… (2020年1月28日 23時) (レス) id: 6828360e61 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ソラ | 作成日時:2019年10月30日 14時