その5 ページ31
突然静かになった彼女の顔を除きこむと、思わずぎょっとした。
「何泣いてるんだよ。らしくもない」
まさかあのAが俺の前で涙を見せるとは。そう思っているのはどうやら彼女も同じの様で。
「私だって貴方の前でこんな醜態晒すの嫌ですよ!でもなんか勝手に...勝手にィ...!」
ギャーギャーと喚きながら次々と溢れてくる涙を必死に抑えようとしているA。
「...私、今日めちゃくちゃ楽しみにしてたんです」
「...知ってる」
「あの人と会える。そう思ったらなんか、張り切っちゃって」
ポツリポツリと話始める彼女は、いつもの姿とは違う。
見慣れない服装に、いつもとは違う化粧。彼女の事だから、きっとシンスケの為にと思って彼女なりに精一杯着飾ったんだろう。
「あの人にもっと私を見てほしくて...朝早くに起きて、おしゃれだってした」
そんな彼女の姿を思い浮かべると、思わず頬が緩む。その瞬間、胸の奥でじわりと何かが滲んだ気がした。
「...?」
突然胸の奥で涌き出てきた自分でもよくわからない感情に疑問を抱いていると、
「...今日は一緒に行けなかったけど、きっと大丈夫よね?」
まだ溢れている涙を目に貯めながら、Aが言った。
「...絶対、とは言い切れないけど、次は上手くいくよ。きっと」
早くその顔どうにかしなよ、調子が狂う。そう言うと彼女は人前にも関わらず、ぶびーと可愛くもない音を立てながら鼻を噛んだ。
そして漸く泣き止んだAは、「そうだよね」と明るい声で言う。
「たった一回の出来事でくよくよするなんて、私らしくないね」
彼女からはもう涙は消えていた。
「何を今更...どうせ何度も振られてるんだし」
「何だとォ?...でもまぁ、今日は神威さんに感謝しないとね!」
「...」
「何ですかその冷ややかな目は。私だってちゃんとお礼は言えるんですからね!」
「はいはい」
「よーし、まだまだ飲むぞォ!」
「俺はもう帰りたいんだけど」
「...飲むぞ〜!」
「...わかったわかった」
239人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソラ - りおさん» コメントありがとうございます!思い付きで更新しているため、不定期になってしまい、読書の方には迷惑をかけております汗なるべく更新していきたいと思っているので、よろしくお願いします!♪ (2020年2月12日 18時) (レス) id: c2cc8b33f9 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 高杉さんかっこいい…… ここからの展開が楽しみすぎます、!!! そして主様更新頑張ってくださいッ (2020年2月12日 16時) (レス) id: f7e6660386 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - きょこさん» コメントありがとうございます!また更新が遅れて申し訳ないです...。きままな更新で行きたいと思ってますので、ちょくちょく覗きに来てくださると嬉しいです♪ (2020年2月12日 0時) (レス) id: 64cc8cd8ee (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 沖田レイアさん» ありがとうございます〜!そう言って貰えると大変嬉しゅうございます♪亀更新で申し訳ないですが、最後までお付き合いくださいませ。。 (2020年2月12日 0時) (レス) id: 64cc8cd8ee (このIDを非表示/違反報告)
きょこ - 続き楽しみにしてました!これからの展開が楽しみー!はぁ…無理やり腕掴まれたい… (2020年1月28日 23時) (レス) id: 6828360e61 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ソラ | 作成日時:2019年10月30日 14時