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第24話 ページ25





「私が武装探偵社社長の福沢諭吉だ」

深々と、深々と頭を下げられる。

「勝手な勘違いをして済まなかった」

「…いえ。少し慣れてきたので」

二度あることはと言うし、次があってももう驚かないだろう。

あれ…一度目から驚いた記憶もないな。

「説明して欲しいね。アンタ、Aだっけ? 乱歩さんと知り合いかい?」

情報不足だということで先ずは自己紹介をし、私がマフィアと云々という話も置いといて先程の件について。

「私が此の街に来たのは一月程前のことです。恐らくは人違いかと」

「でも名前は当たった」

「乱歩さんなら其れぐらい…」

「幾ら乱歩さんでも、手懸かり無しで初対面の人の名前を当てるのは不可能だ」

手当たり次第に人の名前が分かってしまったら個人情報も何もない。

いきなり行き詰まった。

肝心の乱歩さんがいなくなってしまって真相が分からない。

頭の切れそうな太宰さんは薄い笑みを浮かべている。

「ポートマフィアから逃げてきた理由は、家に帰るためかい?」

逃げてきた、事になるのだろうな。

助けてもらった分は返した気でいるし、そう判断されたからあの選択を迫られたのだろう。

「…探し物を見つけるためです」

「よく無事でいられたね」

無表情に笑みの仮面をつけた太宰さんが首を傾げる。

「追っ手もないし、森さんにどうやって気に入られたのかな」

「太宰は元ポートマフィアだ」

「そうだったんですね」

妙に詳しいと思ったら、そういうことらしい。

反応が薄かったせいか敦くんが何やら騒ぎ出す気配がしたが気のせいだったようだ。

補足してくれた国木田さんは顎に手を当てて考え込む。

「矢張り、乱歩さんに戻ってもらうしか」

「僕は此処にいる」

「乱歩さん!」

むすっ、と不貞腐れた彼が扉を少しだけ開けて此方を窺っていた。

目が合うなり頬を染めてバタンと閉められてしまう。

福沢さんはいそいそと立ち上がってその扉の前へ、物憂げな表情で謝りに行く。

「乱歩、悪かった。彼女が例の女性であるとは知らなかった」

「例の女性?」

「…福沢さん。私が何ですか」

何故、太宰さんがブリザードを吹かしているのか。

私は何も悪くない、筈だ。

意味深な発言をしておいて福沢さんは本人に言わせる気らしい。

だが扉はうんともすんとも言わない。

「え、私ですか」

与謝野さんに押されては仕方ないので扉の前に立った。

「…乱歩さん?」

恐る恐る、声を掛ける。

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梦夜深伽(プロフ) - 加奈さん» 中也の出番はこれから増やします!! (2020年6月6日 19時) (レス) id: 885dd45dfc (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 中也。 (2020年6月3日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
梦夜深伽(プロフ) - るるさん» ありがとうございます! (2020年6月3日 1時) (レス) id: fef69d0af7 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 文章が丁寧で物騒でめちゃくちゃ面白いです...!!更新楽しみにしてます..!!!! (2020年6月1日 15時) (レス) id: 30c2a422ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梦夜深伽 | 作成日時:2020年5月24日 23時

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