懸命リワード�� ページ39
『――くじらくん！』
耳元で大きな声が響いた。
インカム越し、ガラスの向こうの部屋にいるイルカの声。
『……誰に投票するつもりなの？』
俺はイルカの方を振り向けないまま、「誰に投票すれば良いんだ？」と濱に訊ねた。
「くじらさんはマイマイさんに投票して下さい。マイマイさんは僕に。僕はロンさんに。ロンさんも投票できるんですよね？」
「モチロン！ ボクも参加者だからネェ。くじらクンに投票すれば良いンだろう？」
机の真ん中のスクリーンに、
『くじら→マイマイ→濱→ロン→くじら』
と表示された。
「この通りに投票したら……人質は全員、死ぬんだよな……」
ガラス越しの部屋を見る。焦っている様子のメイメイさんと、何故か平静を保っている与一。朔来さんなどは、こうなる事が分かっていたかのように変わらない表情だ。
……イルカの方は、見る事が出来なかった。
『くじらくん、聞いてほしいんだ』
イルカの声は普段より少しだけ低い。だが、慌てた様子などは一切なかった。
(分かってるのか？ 俺はお前を殺そうとしてるんだぞ……！)
声にならない。俺の中でのイルカはどういう存在だ？ 友達でも家族でもない、赤の他人だ。庇う理由なんかどこにもない。そもそも俺はこいつのせいで人狼ゲームに巻き込まれたんだよな？
『別に僕を処刑するのは構わないけど……さっき僕、言ったよね。目の前の人間を簡単に信じるなって……』
その言葉は確かに覚えている。だが、それは俺達の中に人狼がいると思っていた時の話だ。人狼は人質の中にいると分かった今、同じ村人である皆を疑うわけにはいかないのだ。
『あの言葉、忘れてないだろ。君なら、よく考えれば分かるはずだ。それがどういう意味なのか。……頼むから、後悔しないように選んで』
何だか、イルカの口調がいつもと違う。
例えるなら……まるで、遺書のような……。
「それデハ、投票を始めてネ！」
ロンの台詞に、我に返った。
部屋が暗転する。誰がどのボタンを押したか分からないように。同時にインカムの通信も切れた。ここから先、人質と話す事は禁止されているようだ。
「……」
イルカが死ぬ。それが何故こんなに嫌なんだ？ 俺が人狼症候群にかかったのは、あいつのせいだ。俺が三度も人狼ゲームに参加させられたのも。俺の投票で皆が死んだ事も。
『目の前の人間を信じるな！！』
そんな強い口調ではなかったろう。けれど、そう言われた気がしたのだ。
だから――俺はボタンを押した。
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くろーさぎ(プロフ) - 転スラリムるさん» いえいえ、こちらこそありがとうございます！！アニメみたいに面白く出来ると良いんですけどねぇ……更新、頑張らせて頂きます！ (2020年3月26日 9時) (
レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
転スラリムる - ありがとうございます！アニメ系しか見てなかったので嬉しいです！更新頑張ってください!! (2020年3月26日 9時) (レス) id: a9f5253a4a (このIDを非表示/違反報告)
転スラリムる - あ (2020年3月26日 9時) (レス) id: a9f5253a4a (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - オレンジ100％！さん» ありがとうございます……！！とても嬉しいです！はい、更新頑張らせて頂きます！ (2019年10月27日 17時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ100％！(プロフ) - 昨日から読み始めました！面白かったです！更新頑張ってください！ (2019年10月27日 16時) (レス) id: 173ea3e1dd (このIDを非表示/違反報告)
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