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赤「…A」
重岡くんが近寄ってきて、持っていたお弁当箱を差し出す。
私は震える手で受け取る。
去ろうとする重岡くんに私は思わずポツリと呟いた。
「……神山くん、私のこと使いやすいって思ってたんかな」
赤「は?」
足を止めてこっちに振り返る重岡くん。
私はハッとして、慌てて顔を逸らす。
「ご、ごめん…今の気にせんとって…」
赤「それ、お前がそう感じたんか?」
「いや違っ……」
赤「誰かにそう言われたんか」
重岡くんの方を見れば、その顔はまるで怒ってるようだった。
何も言えず黙り込んでいると、重岡くんはおっきなため息をついた。
赤「…ええか、A」
「え?」
赤「神ちゃんはAに対してそんな事思ってへん」
「な、なんで重岡くんがそんな事分かるん…」
赤「神ちゃんの事は俺がよぉ知っとる」
そうや、重岡くんと神山くんは幼稚園からずっと一緒やったって聞いた。
赤「せやからそんな事思うな」
「でも、もう神山くんに……」
赤「ああ、大丈夫」
ケロッと答える重岡くん。
何を根拠に大丈夫やと言うてんのやろうか。
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作者名:Aqua. | 作成日時:2021年11月29日 20時