四ツ目神 Ⅱ【JW】 (ページ39)

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顔を上げたカミヤマさんの姿は、四ツ目神のようだった。

「カミヤマさん、何が───！」

緑「君がイミゴを連れ出すくらいやったら……」

「なッ！？」

世界が、崩れるようにして壊れていく。

「カミヤマさん！カミヤマさん正気に戻ってください！」

緑「正気？ “コレ” もオレのほんまの姿やで」

「カミヤマさん！このままじゃこの世界が壊れちゃう！」

緑「ええんや」

崩れゆく世界の中で、カミヤマさんはゆっくりと呟く。

緑「今の当主に子どもは望めへん。氏子(うじこ)は年々減っとる。マイちゃんも気づいてたやろう？四津村はもう長くない……オレはずっと見てきた。孤独の中で、許されへん罪の中で、ずっと……もう檻は必要ない。オレにとっての“救い”はたった一つなんや。それを失うくらいやったら──」

「カミヤマさん！！」

黒い手がこちらにのびてくる。

私は黒い手を必死に避け、宝剣でカミヤマさんを刺した。

「はぁ……はぁ……」

ポタリ、ポタリと血はないはずなのに、真っ黒な影が私の手をつたう。

自分のしたことに手が震えた。

「カ……カミヤマさん……」

緑「俺を消すんがイミゴの片割れやなんて……皮肉なもんやね」

？『カミヤマ様、お気を確かに』

？『病に負けてはなりません』

緑『……この体はもう長くはもたへん、皆に伝えてくれ。遺体は、灰にして埋めるよう……流行り病とも限らへんから』

？『遺体だなんて滅相もございません！』

？『医者が力を尽くしておりますゆえ、もうしばらくの辛抱です、カミヤマ様』

緑『………』

？『カミヤマ様！』

？『カミヤマ様、どうか四ツ目神様と共に、我ら氏子(うじこ)を永久(とわ)にお見守りください』