居酒屋妄想日記 ５冊目

めんどくさい男 青side ページ21

〆．



桃「はああ………」



イブの夜。



がっくり肩を落として歩く巨大な男がおって、彼女に振られたんかなーと横切ろうとしたら、それは



青「望？」



やった。



桃「うっ………流星〜〜」



青「え、泣いてんの？うわ、めんどくさ」



逃げようとすると物凄い勢いで抱きつかれて、身動きすらとれんくなった。



そういうの、Aからしてほしいねんけど。



青「なんやねん」



桃「Aと喧嘩したぁ……」



青「ざまあ」



おっと、心の声が。



桃「今日Aとデートしててんけど……」



青「は？お前ふざけんなよ？」



しばいたろか。



桃「Aとちょっと言い合って……A帰ってもうた」



青「…………それ、いつの話？」



桃「さっき！！嫌われたかなぁ」



うじうじしとる望と、青ざめる俺。



青「お前……今何時やと思ってんねん」



桃「何時って、十時……」



青「こんな時間にA一人にすんなや！！」



望の肩を押しのけて駆け出せば、ようやく望も事の重大さを察したらしい。



遅いねん、あほ。



連絡しようかと思えば電池切れで、焦りが増した。



無事家に帰れてるならそれでええねん。



こわいのは、どこかもわからない場所で泣いていること。



青「Aが行きそうな場所……。喧嘩した時に落ち着けそうな場所……」



一ヶ所だけ、心当たりがある。



青「望！うえすと行くぞ！」



桃「えっ……お、おう！」



うえすとにおるなら安心か。



いや、シフトんとこに淳太おったな。



危険や、狼や。



はよ助けに行かな。



元いた場所からはかなり近かったから、走っていくことに。



青「お前も大人になれや！好きな女、夜の繁華街で一人にするってどんな神経しとんねん！」



桃「…………………っ」



望は悔しそうに唸ってから、走るスピードを上げた。



なんか………こいつ、こういう時かっこええよな。



見せ場持ってくんやもん。ずるいわ。



桃「はあ、はあ………おったー！！！！」



店の中に転がり込んだ望は、そのままAを抱き締める。



淳太と親方はそんな望のことをにやにやしながら見てて、



こんな大人にはなりたくないと思った。



〆．

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