待ち伏せ ページ18
撮影所の空気はまだ照明の熱を帯びていて、
メイクの匂いと汗のにじむ匂いが混ざっていた。
Aは台本を閉じながら、
ふとポケットの中の冷たい感触に気づき、
無意識に取り出してしまった。
――宮舘さんにもらった合鍵。
親指でつまんでくるくる弄んでいると、
隣から間の抜けた声。
「……は?」
振り向けば、渡辺さんが目を細めて
じっとこちらを見ている。
彼の視線は鍵に釘付けで、
表情は笑っているのか怒っているのかわからない。
「……なにそれ。お前の?」
冷や汗が背中を伝った。
ここで嘘でもつかなきゃまずい。
「……え、うんそう、です」
ぎこちなく短く答え、逃げるように席を立った。
絶対に嘘だってバレた。
でも仕方ない。演技で絡みはしたけれど、
プライベートまで踏み込まれたくなくて、
足早に事務所の出口へ。
――なのに。
出口を出た瞬間、
壁にもたれて待っていた渡辺さんの影に
心臓が跳ね上がる。
「……やっぱり。逃げると思った」
声は穏やかだけど、瞳の奥は
静かに煮えているみたいだ。
「な、なんで待ってるんですか」
「そりゃ、お前が……俺に嘘ついたから。」
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作者名:ソーダ。 | 作成日時:2025年12月13日 9時


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