優しさに包まれて【宮治】 (ページ14)

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角名side

治｢そういえばこの前バイ〇ハザードみたいなことが起こってん｣

角｢はあ？｣

2週間前、治が急に電話をかけてきたと思ったら突然意味のわからないことを言い出した。

閉店間際にゾンビのようにやつれた女の子が来店して放っておけなくておにぎりを作ったらしい。

治自身、侑のこともあって女性と深く関わっていなかったのにそのゾンビさんの話は電話口でも分かるくらいやたら生き生きと話すから驚いた。

そしてちょうど俺が休暇でおにぎり宮に来たその日にその噂のゾンビさんが来て

治｢おーー！七瀬さん！いらっしゃい！｣

俺も見たことないくらいの笑顔で彼女を迎える治

治｢おいツム、七瀬さんはそんなんとちゃう｣

｢お前、ええ加減にせえよ｣

彼女のために侑に対して本気で怒る治

そして、

治｢なら、俺の事名前で呼んだらええやん｣

今までどれだけ女性を相手にしてもそんなこと口が裂けても言わなかった治が、自ら名前で呼んでもらおうとした。

角｢は？｣

さすがに俺もあの時は声に出してしまった。

だってあの治が自分から名前で呼んでって言ってるんだぞ？

侑と同じ反応をしてしまったのは些か癪に障るけど、恐らく長年生活を共にしてきた侑にとってもかなりの衝撃だったに違いない。

そして七瀬さんに対して表情筋ゆるゆるの治を見て確信した。

治、

あの電話の時から少し感じていたけど

もしかしたらまだお前には気づけない事が、
これから起ころうとしているのかもな。

名前を呼んでもらって顔を綻ばせている治を見ながら心の中でそう呟く。

面白くなりそうだと、そう直感した俺は名前で呼び合おうとしている2人にカメラを起動した携帯を向けた。

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(一方で)名前呼びシーン時の侑side

治｢なら、俺の事名前で呼んだらええやん｣

侑｢は？(いやなに俺の提案を横取りしてんねんこいつ！先に言うたの俺ですけど？！…うっわ別にめちゃくちゃ名前で呼んで欲しいわけやないけどサムに先越されたってだけでなんか腹立ってくるわ)｣