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「……あっ、すみません」
ぼーっとした頭のまま会社を出て歩いていると、すれ違う人に気付かず肩が軽くぶつかった
頭を上げて再び歩き出すと、ふと浮かんでくるのは、さっきの彼の表情、声、仕草
頰を包み、近付く色っぽい藤原樹が
どうしても頭から離れなくて
「………わっ!すみません…」
また、すれ違う人とぶつかりそうになる
…ねぇ藤原樹
貴方の言う通り、今の私は
貴方の事しか考えられないようになってる
なのに、陸さんが記憶の中で笑ってて
それが私の心を罪悪感で満たしている
どうしようもない女だって、そう言って突き放された方が、いっその事楽になるのだろうか
海「あれ、Aちゃん?」
声のする方を見ると、スーツのポケットに両手を突っ込み、通勤リュックを背負ったままの…
「……タケウチさん?」
海「いや、武知な?笑 海青でいいよ笑」
タケウチさん…もとい、武知海青さんが、ニコニコしながら駆け足で前から走って来る
「すみません…」
海「ううん笑 やけに人にペコペコしてる人いるな〜と思ったらAちゃんか笑」
大きな身体とは似つかわしくない可愛らしい笑顔で、白い歯を見せながらガハッと笑う海青さん
「会社に用ですか?」
海「んー、樹追っかけて来たんだけどね〜
会社行ったっぽかったからさ」
「…藤原樹なら、
私が会社出る前に先に出て行きました」
海「えーそうなのか〜」
" もう仕事はいいからちゃんと休む事。いいな? "
そう言い残して、先に出て行った藤原樹は、ほんの少し耳が赤く染まっているような気がした
言う事を聞き、後片付けをして会社を出たのは、彼が出て行ってから15分後くらいだったから
きっともう家だろうな…
海「…なんか顔赤いよ?」
「へっ!?」
海「ふふっ笑 ていうか腹減ってない?」
「いや…」
首を傾げた瞬間に、ぐるぐると鳴ったお腹は正直で
海「よし、飯食い行こ!」
「ちょっ…」
返事を聞かずに歩き出していた海青さんの大きな背中を追うか迷っていると
海「元気ない時は肉食うのが一番だよ?」
振り返ってそう言うと
ニカッと笑って再び歩き出した
…藤原樹の周りの人も、気持ちに敏感なのかな
急ぎ足で、大きな背中を追いかける
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りい(プロフ) - とても良かったです!!! (2021年10月11日 2時) (レス) @page50 id: 23552ed598 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 美憂さん» 読了、コメントありがとうございます!素敵だと言っていただけるいっちゃんが書けて良かったです(^^) (2021年3月15日 1時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
美憂(プロフ) - 最高な作品でしたー。いっちゃん素敵! (2021年3月13日 22時) (レス) id: 35846edb09 (このIDを非表示/違反報告)
まいぽん(プロフ) - 蘭さん» ありがとうございます!ぜひ読ませていただきます!! (2020年3月10日 23時) (レス) id: 0b1b1da15f (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - まいぽんさん» 返事が遅くなってしまってすみません涙 今度また藤原樹君のお話を書かせて頂いた時には、まいぽんさんをもっと虜に出来る様に頑張りますね(^^) (2020年3月10日 18時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭 | 作成日時:2019年1月7日 20時