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カランッと乾いた音がしたと思うと、思いのままに伸ばした腕から、松葉杖が倒れた
一瞬止まったはずの視線はそちらに向かう
樹「…落ちたよ？笑」
微笑を浮かべ松葉杖に目線を落とした藤原樹を見て、パッと掴んでいた裾を離した
すると、それを拾って差し出される
樹「ん」
すぐに、受け取ればいいのだけれど
樹「…A？」
まだ、何も言えてないから
まだ帰らないでって、そう言えたらいいのに
伝えたい色んな事が溢れてきて、
それと同時に、思わず涙が溢れそうになる
樹「…やっぱ上まで送る」
少しだけ見つめられたと思えば、ちょっとぶっきらぼうにそう言って、バックをまた取られる
面倒な女だと思われてるんだろうな
どことなく不機嫌そうに歩く彼を少し後ろから眺めながら歩くと、当たり前にそう感じる
「ごめん」
樹「え？何が？」
「付いてきてもらって、迷惑だったよね」
樹「…あー」
エレベーターが到着すると、いつもと同じようにドアを押さえながら開けて待っていてくれる
樹「気にすんな」
と言いながらも、やっぱり何となく不機嫌に見えるから、ますます不安は募るばかり
上昇していく箱の中で、端と端、距離を置いて立つ
藤原樹をチラリと見ると、はぁ…と溜息をついているのが見えて、チク、と胸に痛みが走る
「…今日、この後予定ある？」
樹「特にないけど、どうした？」
「じゃあ、うち寄っていかない…ですか？」
眠たそうな切れ長の目が、少し大きくなって
その瞳の奥が、ユラリと揺れたのが分かった
少し、考えたような表情で目を逸らされたら
樹「やめとく、かな」
と、その一言によって落ち込む
樹「ほら…さ」
後頭部をかくような仕草で、困ったような顔
樹「Aその足でもてなそうとするから、治るまでは人入れない方がいいんじゃん？笑」
と、閃いたようにパッと言われると、エレベーターは目的の階へと到着してしまう
樹「な？だから…」
まるで子供に言い聞かすようにそう言ってくるから
「ダメ、です」
樹「え…」
エレベーターが開き、出ようとした彼のネクタイを引っ張り、唇にキスをすると
また、カランッ、と乾いた音が響いた
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りい(プロフ) - とても良かったです！！！ (2021年10月11日 2時) (
レス) @page50 id: 23552ed598 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 美憂さん» 読了、コメントありがとうございます！素敵だと言っていただけるいっちゃんが書けて良かったです(^^) (2021年3月15日 1時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
美憂(プロフ) - 最高な作品でしたー。いっちゃん素敵！ (2021年3月13日 22時) (レス) id: 35846edb09 (このIDを非表示/違反報告)
まいぽん(プロフ) - 蘭さん» ありがとうございます！ぜひ読ませていただきます！！ (2020年3月10日 23時) (レス) id: 0b1b1da15f (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - まいぽんさん» 返事が遅くなってしまってすみません涙 今度また藤原樹君のお話を書かせて頂いた時には、まいぽんさんをもっと虜に出来る様に頑張りますね(^^) (2020年3月10日 18時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭
| 作成日時：2019年1月7日 20時
