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名前を呼んだ陸さんは、座っている私より低い下の位置から、私のことを見上げた
陸「彼から、全部聞いた」
捻挫した足を見て、陸さんはポツリと話し始める
彼、と言われて思い浮かぶのは、ただ一人
陸「梓とはきっぱり別れたはずだったんだけど…別れたくないって言われて、そのままうやむやにしちゃってて……まじで、全部俺の責任」
…陸さんと梓さんが、まだ付き合ってると思って苦しんでいた時間を思い出す
それぞれの想いが絡み合い、交差していた時間
一人一人が大切な人を思う事で、絡まり合ってしまった糸を解くように、少しずつ、互いに理解していく必要がある
陸「女の子の大事な身体なのに…
何て言ったらいいか分かんない…」
と、陸さんは頭を抱えて何度も謝ってくるけれど
申し訳無さから、なかなか目が合わない
そこで、陸さんの顔を両手で挟み込み
ぐいっと持ち上げて目を合わせた
陸「！」
自分でも、上司にこんな態度有り得ないって、そう思ったけど、思い立ったら即行動してしまっていて
驚いた顔の陸さんを見ると、私がしている事はただの後輩がする事じゃないと思い知らされる
「陸さん、私の目を見て下さい」
陸「…うん」
「私、怒ってませんし、謝って欲しくないです」
陸「…でも、怪我させたのは俺の責任だよ？」
２人しか居ないシンとした会議室に、陸さんの透き通った綺麗な声がよく響く
「…私が初めに陸さんを好きになったんです」
陸「…」
「陸さんに謝られると、好きになった時間まで否定されてしまう気がするから…
だから、そうやって謝って欲しくないんです」
陸さんの事を好きでいたあの時間は本物だった
それぞれが過ごした時間を、謝る事で否定して、帳消しになってしまうのは嫌だった
陸「…なんか、Aいつからか、気持ちをそうやって素直にぶつけてくれるようになったよね」
「…そうですか、ね？」
陸「付き合ってた時は、ワガママ一つ言わない女性だったけど…今はちゃんと、自分の気持ちを尊重して話してくれるようになった」
陸さんの前では、物分かりのいい女性でいようと努力していたけれど…確かにそうかもしれない
陸「思うままに生きてる、藤原樹みたいにね」
伏し目がちに笑う陸さんはまた
彼の名前を口にした
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りい(プロフ) - とても良かったです！！！ (2021年10月11日 2時) (
レス) @page50 id: 23552ed598 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 美憂さん» 読了、コメントありがとうございます！素敵だと言っていただけるいっちゃんが書けて良かったです(^^) (2021年3月15日 1時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
美憂(プロフ) - 最高な作品でしたー。いっちゃん素敵！ (2021年3月13日 22時) (レス) id: 35846edb09 (このIDを非表示/違反報告)
まいぽん(プロフ) - 蘭さん» ありがとうございます！ぜひ読ませていただきます！！ (2020年3月10日 23時) (レス) id: 0b1b1da15f (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - まいぽんさん» 返事が遅くなってしまってすみません涙 今度また藤原樹君のお話を書かせて頂いた時には、まいぽんさんをもっと虜に出来る様に頑張りますね(^^) (2020年3月10日 18時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭
| 作成日時：2019年1月7日 20時
